ここは、架空老舗書店の晴天書房。私はお店番のあんずです。
いよいよ、来月に本屋大賞が発表されますねっ
大賞に選ばれた本は映像化されたりと、
ここ数年での注目度の高さに驚かされます。
今回はそんな「本屋大賞」をテーマにしてみました!
お店の常連さんに、おすすめの本を聞きました。
晴天書房の常連たち
言葉の奥深さを再確認 マロン 文章を書く仕事ゆえに、辞書作りの話を読んで言葉を扱うことの大変さを改めて実感。気を引き締めねば。
本好きで良かった よっすー 本屋大賞のお陰で「羊と鋼~」に出会えたので、それから毎年大賞作品を購入しています。一番信頼している賞かも。
不器用でも「まじめ」に
生きる主人公が愛おしい。
【あらすじ】読書好きで人付き合いが苦手な馬締光也は、玄武書房の営業部で変人として持て余されていた。ところがある日、言葉に対するセンスを評価され、辞書編集部に引き抜かれることに。天職に出会い、仲間に支えられながら辞書作りという大仕事に没頭していく。
プレゼンテーター:
言葉の奥深さを再確認 マロン
主人公は本が大好きで、古本屋で山ほど買っては下宿の床が抜けそうなほど所蔵している馬締光也。大学院では言語学を専攻し「優秀な人材」として出版社に就職したのに、コミュニケーションが苦手なため営業部ではパッとしない日々。
しかしその「言葉マニア」な性格がある時、辞書編集部の目に留まります。言葉に対して鋭い感覚を持ち、他のことには目もくれず辞書の世界に没頭できる馬締は、辞書編集部にはうってつけの存在だったのです。しかし彼は辞書作りに関しては天才でも、他の部分ではボーッとして不器用。
その愛すべきキャラを編集部の仲間や恋人が支えながら、新しい辞書の編纂という大仕事が少しずつ進んでいきます。ひと一倍知識はあるのに、言葉で思いをうまく伝えられない。そんなもどかしい性格だけど、しゃべることに嘘がなく心に曇りがない主人公を、読み進めるうちにどんどん好きになっていきます。

人生に無駄なものなどない。
道を究める全ての人への応援歌
【あらすじ】彼が調律したその音からは、生まれ故郷と同じ森の匂いがしたー。主人公・外村は、偶然目にしたピアノ調律に魅せられ、その世界に飛び込んでいく。先輩や恩師に教えられながら楽器店で経験を積む外村だったが、ピアノを愛する姉妹との出会いが、【才能】に悩む外村の人生を変える。
プレゼンテーター:
本好きで良かった よっすー
『才能が必要なのは間違いないが、才能があるかどうかは十年経たないと分からない』。何というリスクだろうか。若くて一番良い時期の十年を無に捧げるかもしれないのである(私も技能職だが、昔の私が自分の目指す山の高さを知っていたら尻込みしたかもしれない)。技能で食べていくとはそういうことで、近道などなく、手探りで迷いながら上を目指すのみだ。
その終わりの見えない彷徨を、主人公は森に喩える。
調律を中心とした話の主旋律を右手とすると、主人公の中で常に漂う濃い森の気配はちょうど左手のベースコードのよう。一見異質の美を湛える二つの世界が、物語の中で有意に繋がり、響き合いながら紡がれていく心地よさは何度読んでも陶然となる。
個性的な先輩調律師らの助言パートもとても魅力的。夢破れて調律師になった秋野、聴覚過敏で外出もままならなかった過去を持つ柳。それぞれ違う頂点を目指していても、語る言葉は不思議なくらい、森を往く全ての人に響くはずだ。
ご紹介した本まとめ
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