わざわざ寒いところへ出かけて、寒い中で温泉に入り、寒い中でごはんを食べて、寒い中で焚き火にあたる。
冬キャンプをしたことがない人が見たら、「何がしたいんだろう?」と思うかもしれませんね。
でも、冬キャンプの醍醐味は、おそらく、この「寒~い!」→「あったか~い!」の幸せ感なのです!
今回は、まだ冬キャンプをしたことがないキャンパーのみなさんに、この幸せ感を体験してもらうため、あえて暖房を使わずに冬キャンプを楽しむ方法をご紹介します。
冬キャンプに必要な服装や、体があたたまる過ごし方、寝るときの寒さ対策などをお伝えしますので、冬キャンプならではの「寒~い!」→「あったか~い!」を、ぜひ堪能してくださいね!
目次
冬キャンプの防寒対策は服装がポイント
冬キャンプの防寒対策でおすすめなのは、「服のレイヤリング※で自分自身を寒さから守る」こと。
※ 速乾・保温・防風など、異なる役割のウェアを重ね着することで快適性を保つこと
機能性の高いものを選べば、真冬でも、少ないアイテムで寒さを防ぐことができるんですよ。
ここでは、登山ウェアを参考にしながら、基本のレイヤリングをご紹介します!
速乾性のあるベースレイヤー
レイヤリングは、主に、ベースレイヤー、ミッドレイヤー、アウターレイヤーの3つに分けられます。
まず、いちばん肌に近いベースレイヤーは、汗を素早く乾かして、汗冷えを防ぐことが大切な役割です。
ベースレイヤーの素材には、保温性の高いメリノウールや、速乾性に優れたポリエステルなどがあります。
「肌着」にしては値段が高い、と感じるかもしれませんが、5年、10年と長持ちするものがたくさんあるんですよ!
ベースレイヤーは、冬キャンプ以外のアウトドアや、普段の生活でも活躍しますので、ここは思い切って奮発してみてはいかがでしょうか。
☆ ONE POINT ☆
メリノウールとは、オーストラリアなどで飼育されているメリノ種の羊の毛のこと。肌ざわりがよく、高い保温性、通気性、防臭力があり、羊毛の中でも最高級といわれています。
保温性を重視するミッドレイヤー
ベースレイヤーの上に着るのは、保温性のあるミッドレイヤーです。
ベースレイヤーが発散した汗を逃がす必要があるため、ミッドレイヤーでも、通気性、速乾性が必要です。
ポリエステルのフリースなら、取り扱いも簡単で、保温性、速乾性、通気性を兼ね備えたものが多くなっています。
ミッドレイヤー、とはいえませんが、寒い時期に登山をする人は、電熱ベストを持っていくこともあるそうですよ。
ご参考までに。
雨風を防ぐアウターレイヤー
ベースレイヤーで汗を逃し、ミッドレイヤーで保温ができたら、アウターレイヤーでさらに保温して、雨や風、冷気から体を守ります。
アウターレイヤーの表地は、ポリエステルやナイロンなど燃えやすい素材を含んでいることが多いので、焚き火をする際には、難燃性のマントなどをはおることをおすすめします。
なお、これらの焚き火ウェアは、防寒性がないものが多いので、アウターレイヤーの上から着ることができるサイズを選ぶといいですよ。
☆ ONE POINT ☆
体を冷やさないためには、首、手首、足首を冷やさないようにすることが大切です。ネックウォーマー、アームウォーマー、レッグウォーマーなどでしっかり保温しましょう。手袋や靴下、ニット帽などで、手足、頭(耳)を温めることもお忘れなく!
「寒~い!」と「あったか~い!」を楽しむ過ごし方
服装の寒さ対策が万全でも、ほかのシーズンのように、景色を見ながら長い時間ぼんやりしていると、さすがに体が凍えてきそうですよね。
冬キャンプでは、寒さを忘れて夢中になれることや、体を動かすアクティビティ※などを取り入れてみてはいかがでしょうか。
※ リゾート地などでのさまざまな遊び
水辺のアクティビティ&温泉は最強コンビ
キャンプ場によっては、ハイキングやカヤック体験など、アクティビティが用意されていることがあります。
わたしは、12月の冬キャンプで、カヤック体験やマリンダイビングなどに参加しましたが、ずっと動いているのとテンションが上がっていることで、「寒い!」と感じることはほとんどありませんでした。
ただし、服や髪が多少濡れるので、遊び終わるとふつうに寒いです。
っということで、冬キャンプで水遊びをしたあとは、そのまま温泉へ直行!
ここで、あの「寒~い!」→「あったか~い!」の幸せ体験をするのです。
寒さでかたまった体がじんわりほぐれて、ほっこり幸福感が倍増しますよ!
みなさんも、温泉をいつもの2倍楽しむために、あえて水辺のアクティビティに参加してみてはいかがでしょうか?
冬はあつあつキャンプごはんがうれしい!
温かいキャンプごはんといえば、やっぱりお鍋ですよね。
おでんやシチューでも、体の中から温まります。
熱源は、カセットコンロやシングルバーナーを使うと、火力の調節ができて便利ですよ。
焚き火の火を利用する場合は、焚き火台の上にお鍋が乗せられるように、網などで調整してから調理しましょう。
かまどタイプの焚き火台なら、そのままお鍋が置けるので簡単ですね。
おいしそうなお鍋のレシピを見つけたので、ちょっとご紹介しておきます!
【ねぎまのしょうが鍋】
◆材料4人分
まぐろ(刺身用・赤身) 2さく(400g)
塩 少々
長ネギ 2本
水菜 1束(200g)
〔鍋つゆ〕
・だし汁 4カップ
・酒 1/4カップ
・淡口しょうゆ 大さじ1
・しょうがのせん切り 2かけ分
・塩 少々
◆作り方
1.まぐろは2cm角に切り塩をふってしばらくおき水気をふく
2.長ネギ、水菜を4~5cmに切る
3.鍋に鍋つゆを煮立て、まぐろ、長ネギを3分ほど煮たら水菜を加えてさっと煮る
【豆腐と白菜の和風チーズミルク鍋】
◆材料4人分
絹ごし豆腐 2丁(600g)
白菜 1/4株
ベーコン 8枚
〔鍋つゆ〕
・水 4カップ
・洋風スープのもと 大さじ1
・しょうゆ 大さじ3~4
・塩 小さじ1
牛乳 2カップ
ピザ用チーズ 70g
◆作り方
1.材料を一口大に切る
2.鍋に鍋つゆを煮立て、白菜を加えてしんなりするまで5分ほど煮る
3.豆腐、ベーコンを加えて3~4分煮たら牛乳を加え煮立たせないように温める
4.ピザ用チーズをのせてフタをして火を止めチーズを溶かす
どちらも、『3分クッキング ‘19年1月号』(KADOKAWA)に掲載されたレシピです。
おもしろいレシピに見えて、材料はとてもシンプル。
作り方も簡単なので、冬のキャンプごはんで、ぜひお試しください!
注意!焚き火では暖がとれないカラクリ
気温が低すぎる、または風がある日は、焚き火で思うように暖がとれません。
「焚き火」で暖がとれない、というのは、厳密にいうと、「炎」では暖がとれないということです。
焚き火の炎は、近づくと、あたっている部分だけがチリチリと熱く、痛がゆくなってきます。
ひざ掛けなどで防衛しながらなんとか近くにいても、こんどは顔や目が乾燥してくるんですよね。
さらに、焚き火の薪がしめっていると、薪の中の水分が水蒸気爆発をおこし、バチッとはぜて、かなり大きな火の粉がとんでくることも。
わたしは、いつのまにか、ブランケットに2か所も穴をあけてしまいました。
ただし、焚き火が「おき火」になったら、煙も火の粉も心配なく、安心して近づけます。
おき火をネイチャーストーブなどに移し、足下に近づけると、遠赤外線効果ですごくあたたかいんですよ!
ネイチャーストーブは燃焼効率がよく、おき火はすぐに灰になってしまうので、焚き火のそこに沈んでいるおき火をどんどんネイチャーストーブに移し、あたたかさを楽しみましょう!
冬キャンプで寝るときに気をつけること
氷点下を超える冬キャンプの就寝時は、装備を怠ると、生死にかかわります。
けれど、寝るときの服装、シュラフの使い方、冬のテントの注意点がわかっていれば、暖房器具などがなくても、快適に寝ることができるんですよ。
ここでは、あえてストーブや電気毛布などを使わない寒さ対策をご紹介します。
寝るときも寒さ対策はやっぱり服装から
冬キャンプの就寝時、寒さから体を守るのは、やっぱり服装です。
体を冷えから守るには、首、手首、足首を冷やさないことが大切でしたね。
わたしの就寝時は、
・ユニクロの極暖上下
・裏起毛のスウェット上下
・ダウンパンツ
・薄めのダウンジャケット
という感じ。
小物は、
・雪山登山用靴下
・レッグウォーマー
・ネックウォーマー
・スノボ用帽子
・マスク
・手袋
を使っています。
カイロは腰にひとつだけ。
さらに寒がりな方は、カイロを、肩(左右)、背中(肩甲骨のあいだ左右)、腰(おへその裏)の5か所に貼ると、かなり温かいですよ。
なお、はじめの章でご紹介した「電熱ベスト」を着て寝る方もいるそうですが、使われる際は、就寝時に使えるかどうか、商品の説明書を必ず確認してから使用してくださいね。
冬キャンプで封筒型シュラフを使うコツ
シュラフには、封筒型とマミー型の2種類があります。
【封筒型】
・中綿は化学素材が多く安価
・洗濯しやすい
・収納サイズが大きい
・主に夏向き
【マミー型】
・中綿はダウンが多く高価
・洗濯に手間がかかる
・収納サイズが小さい
・保温性が高く冬に活躍
わたしは、封筒型(適性温度-2℃まで)のシュラフを使っていますが、氷点下の寒さには弱いように思います。
封筒型シュラフの中は隙間が多く、動きやすいのが特徴ですが、冬キャンプでは、その隙間にできる冷たい空気がネックになります。
封筒型シュラフは、家族と連結させて一緒に寝ることができるので、小さな子どもさんがいるファミリーキャンプでは便利かもしれません。
連結させる予定がないのであれば、寒さ対策としては、フード付きで外気が入り込みにくいマミー型シュラフをおすすめします。
もちろん、封筒型シュラフでも、冬キャンプはできますよ!
シュラフの中に、毛布を一枚入れるだけで、あたたかさが劇的にあがるんです。
わたしは、家でいつも使っている毛布を持っていきましたが、シュラフ用の薄い毛布も販売されています。
キャンプ場によっては、一枚200円程度で毛布をレンタルしていることもあるので、予約の際に確認してみてはいかがでしょうか。
また、就寝時、シュラフの下には、スリーピングマットが必須アイテムとなります。
スリーピングマットには以下のような種類があります。
【発泡マット】
・発泡素材
・表面に凹凸が付いている
・クッション性が高い
【インフレーターマット】
・コンパクトに収納
・バルブを開けると自然に膨らむ
・パンクに注意
わたしは発泡マットを使っていますが、あるキャンパーさんの動画で、「発泡マットはシュラフの内側に敷く方が温かい」という情報を得たので、さっそく実践しました。
結論からいうと、身体が触れている部分がめちゃくちゃあたたかかったです!
マットの上に直接寝るので、こすれてマットが劣化するのが心配ですが、冬キャンプの間だけなので、ちょっとガマンですね。
発泡マットを使われている方、冬キャンプでぜひお試しください!
テントでの底冷えや結露に注意
冬キャンプのテント内で怖いのは、地面からくる底冷えです。
わたしのテントでは、一番下から
・レジャーシート(グランドシートの汚れ防止の薄いシート)
・グランドシート(裏がラバー生地の分厚いシート)
・インナーテント(厚さはふつう)
・インナーシート(中綿入でふわふわ)
と重ね、その上に、マット、シュラフを置いているので、あまり底冷えを感じたことはありません。
グランドシートが薄い場合は、コット※があると安心ですね。
※ アウトドアなどで使う屋外用簡易ベッド
コットやシュラフは、端に寄せすぎると、テントの壁から外の冷気を感じたり、テントの内側の結露が顔について、「冷たっ」となることがあります。
下の写真は端に寄せすぎている例ですね。
冬キャンプのテント内では、できるだけ壁からはなれて内側へ寄ったほうが、外気や結露の影響を受けずにすみますよ。
☆ONE POINT☆
冬キャンプの寒さで一番つらいのは朝起きるときかもしれません。着替えを枕元に準備しておいて、朝、目が覚めたらシュラフの中で着替えるようにするとシュラフから出やすいですよ。着替えてしまえば外は意外と寒くないので、目覚め→着替え、の行程をがんばって乗りきりましょう!
まとめ
いかがでしたか?
今回は、暖房を使わずに、冬キャンプで「寒さ」と「あたたかさ」を楽しむ方法をお伝えしました。
冬キャンプで一番大切なのは服装のレイヤリングです。
服装でしっかり防寒できていれば、テントに引きこもることなく、外にでて「寒~い!」→「(キャンプごはんが)あったか~い!」という、冬キャンプならではの楽しみを満喫することができるのです!
ちなみに、文中でご紹介した服のレイヤリングは、普段の生活や、ほかのアウトドアでも活用できます。
また、冬キャンプで使える防寒アイテムは、ライフラインが途絶えるような災害時にも役に立つので、冬キャンプを機会に、防寒服やシュラフを揃えてはいかがでしょうか。
十分な寒さ対策で、楽しい冬キャンプを!
【出典】
◆3つの”首”を冷えから守って効率よく体を温めよう/もちはだ
◆『アウトドアテクニック図鑑』(寒川一著/株式会社池田書店)
◆『バーベキュー&キャンプめし お得技ベストセレクション』(晋遊舎)
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