「お手水って、どんな順番だっけ?」
「おじぎの回数って、決まってる?」
なんて、神社へお参りに行くたびに迷っている方はいませんか?
お参りの作法は、なんとな~く頭にあるけど、きちんと調べたことがない、という方は多いのではないでしょうか。
お参りの仕方が「適当」だと、神様からの御利益も「適当」になっちゃいますよ。
今回は、神社での正しい参拝方法を、簡単に身につけるコツをご紹介します。
神様に「適当」にあしらわれないよう、この機会に、キチッと参拝方法をマスターしましょう!
目次
なんとなく心あたりがあるNG行動
本題に入る前に、ちょっとシミュレーションをしてみましょう。
■ストーリー
あなたはそこそこ名のあるバンドマンです。ある日、後輩バンドの、さらに友達バンドのメンバーが、「お願いごと」があって訪ねてくることになりました。彼とは面識がありませんが、家にきてもらって話を聞くことにしました。彼が入ってきやすいように玄関は開けておくことにします。
【シーン1】
玄関前で物音がしたので、どうやら彼が来たようです。なんと、彼は挨拶もせずに玄関を入り、部屋に上がってきました。
(え、おじゃまします、とかないの!?)
【シーン2】
彼は何かの作業をしてきたのでしょうか。汚れた服装です。そして、いつもあなたが座っている席にどっかりと座ってしまいました。
(汚なっ!っていうか、そこオレの席!)
【シーン3】
彼が初めて口を開きました。「次のライブで演奏する曲がなくて困ってるんだけど、パパッと2~3曲作ってよ、来週までに。」
(いきなり本題!?まずは名のれよ!)
【シーン4】
自分の要求を伝えると、彼は立ち上がり背中を向けて、挨拶もせず去っていきました。
★ THE END ★
さて、あなたは来週までにパパッと2~3曲……。
「作るかっ(怒)!」
お参りの作法がすぐに身につく方法
後輩のお友だち、どう見ても、初対面の目上の人にお願いごとをする態度ではありませんでしたね。
でもこれ、なんとなく、身に覚えがありませんか?
神社で、わたしたちは、似たようなことをしでかしてはいないでしょうか。
神様の住まいである神社へ、おじぎもせずに入り込み、いきなり願いごとをして去っていく。
神様だって、「知るかっ(怒)!」っといいたくなりますよね。
お参りの作法で大切なことは、「そこに神様がいらっしゃる」と、強く信じることです。
例えば、「今日は大国主命(おおくにぬしのみこと)様に縁結びのお願いに行く!」など、はっきりと神様をイメージすれば、「大国主命様に失礼のないように参拝したい!」という思いが強くなりますよね。
神社の作法は、やっていることの意味さえ分かれば、所作自体はシンプルで簡単です。
本気で「覚えたい!」と思えば、すぐに身につくものばかりなんですよ。
「年に一回、初詣のときだけ名前もわからない神様に適当な作法でたくさんお願いごとをする」。
そろそろ、そんなお参りはやめて、正しい参拝方法を覚え、神様とよいご縁を結びませんか?
正しい参拝の仕方とその意味を解説
それでは、正しい参拝の仕方と、それらの作法が持っている意味をご説明します。
好きな神社がある場合は、その境内を想像しながら見ていくと、頭に入りやすいですよ。
【参拝方法1 神社の由緒を知る】
境内に入るまでに、まずは神社の主祭神や御利益などを確認しておきましょう。
多くの神社では、鳥居のあたりに「由緒書き」を設置していますが、ない場合のことを考えて、事前に調べておくことをおすすめします。
【参拝方法2 鳥居の前で一礼】
シミュレーションでは挨拶もせず家に入ってくるシーンがありましたね。
鳥居は、神様のおうちの玄関にあたります。
心の中で「○○様、おじゃまします」と伝えながら、一礼して入りましょう。
【参拝方法3 参道は端を歩く】
本殿や拝殿へ続く道を「参道」といいますが、参道の真ん中は神様の通り道です。
シミュレーションでは、自分の席に勝手に座られて、カチンときましたよね。
参拝者は神様専用の通り道(真ん中)を避け、端を通るようにしましょう。
【参拝方法4 手水舎で手と口をすすぐ】
神様は総じて「穢れ(けがれ)」をとても嫌います。
お手水は、本来なら川や滝で禊ぎをするべきところを、口と両手をすすぐだけで穢れを落としたことにしてくれる、いわば禊ぎの簡略版です。
文字で手順を読むとややこしいですが、その動作は10秒ほど。
神様に会いに来たのなら、必ずお手水をおこないましょう※。
※ 2020年11月現在、新型コロナウィルス感染拡大予防対策のため手水舎は使用できないことがあります
◆手水の作法
(ひしゃくに一杯の水ですべてをおこないます)
1.右手でひしゃくを持ち、水をくむ
2.左手に水をかけて清める
3.ひしゃくを左手に持ち替えて右手を清める
4.再びひしゃくを右手で持ち、左手で水を受けて口をすすぐ
5.左手に水をかけて清める
6.ひしゃくをたてて、残った水を柄にながし清める
7.ひしゃくを元にもどす
口をすすぐ際はぶくぶくせず、少し口に水を含んでそのまま出すという感じです。
出すときに人の目が気になるなら口元を左手でそっとおおうといいですよ。
間違っても、ひしゃくに口をつけて、水を飲んだりしませんように!
【参拝方法5 手水舎から拝殿への道も真ん中を避ける】
しつこいようですが、参道の真ん中は神様の通り道です。
もしも、真ん中を横切って反対側へ行きたいときは、軽く会釈をしながら通るといいそうですよ。
【参拝方法6 本殿・拝殿の前では真ん中に立ってもよい】
本殿・拝殿の前まで来たら、真ん中に立って、神様と向き合ってもよいとされています。
ただし、真ん中に「鈴緒(すずのお)※」がある場合は、鈴を鳴らしたあと、少し横にずれてお参りすれば、後ろの人を待たせずにすむのではないかと思います。
※ 神社の賽銭箱の上にある鈴を鳴らすための布綱
これは、神社での「作法」ではないので、個別に判断するのが良さそうですね。
【参拝方法7 賽銭箱の前で一礼し賽銭を入れる】
賽銭箱の前では小さく一礼し、静かに※賽銭を入れます。
※ わざと音を立てて賽銭を投げ入れ「お祓い」とする地域もある
紙幣を入れる際は、賽銭箱がつまる原因になるので、封筒などにいれずにそのまま入れる※そうです。
※ お賽銭のやり方のマナー
なお、賽銭は願いごとの代価ではなく、「自分の命の糧を捧げ私欲を捨てて神様に会う」という意味なので、高額だから絶対叶う、というわけではありません。
【参拝方法8 鈴や鐘を鳴らす】
鈴や鐘があれば、手を合わせる前に鳴らします。
これらは「呼び鈴」のような意味ではなく、鈴や鐘の音を浴びることで穢れを落としているのだそうですよ。
【参拝方法9 二拝二拍手一拝でお参り】
多くの神社では「二拝二拍手一拝」(二礼二拍手一礼)でお参りをします。
◆参拝の作法
1.二礼する
神様への敬意を表すため、体を2回90度折り頭を下げる
2.二拍手
胸の高さで手を合わせ右手を少し下にずらし柏手を2回うつ
3.左右の指先をあわせる
手のひらを少しずらして柏手を打つのは、神様と人がまだ一体ではないことを示し、手をうった後に合わせることで神と人が一体になる、という意味がある
4.八の字型に両手を下ろし太ももにあわせる
5.一礼
最後に一度深いおじぎをして感謝のこころでゆっくりと頭を上げる
参拝の方法には、もう1つ「二拝四拍手一拝」というものがあり、その作法が当てはまるのは次の三社のみです。
・宇佐神宮(大分県)
・彌彦神社(新潟県)
・出雲大社(島根県)
伊勢神宮(三重県)は「二拝八拍手一拝」ともいわれていますが、これは、神職の方の作法で、一般の参拝者は「二拝二拍手一拝」でいいそうですよ。
伊勢神宮のホームページでも、「二拝二拍手一拝」が紹介されているので、「大きな神社は四拍手よね?」などと、間違えないように注意しましょう。
また、冒頭のシミュレーションでは、名のらずにいきなりお願いごとを伝えていましたが、初対面の神様にお願いごとをするときは、「○○市から参りました△△です」くらいの自己紹介はあってもよいのではないでしょうか。
自分なりに礼をつくし、心を寄せることで、神様はより身近な存在になりますよ。
☆ ONE POINT ☆
神社での正式な参拝方法では「目をつむってじっくりお願いごとをする」という動作はないそうです。おそらく「神仏習合」の時代に仏教的な所作「合掌」が入ったのではないかといわれています。確かに二回目の拍手をそのまま合掌に変えてしまっている感じですよね。神社では「具体的にじっくりお願いごとをする」というより「お参りで御利益のパワーをもらう」というイメージなのかもしれません。パワーを最大限にもらえるように正式な参拝方法を身につけておきたいですね。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、神社での正しいお参りの仕方と、それを覚えるコツをご紹介しました。
「心がこもっていればお作法なんて知らなくてもいい」という方もおられるかもしれませんが、神社での作法は、思っているより簡単です。
わたしが神様なら、「わたしに会いに来るのに、たったこれだけのことも覚えてくれないのか……」と、悲しくなるような気がします。
また、本文では触れませんでしたが、わたしたちには、産まれたときに見守ってくださった「産土神様」、住んでいる土地を守護してくださっている「氏神様」※など、すでにご縁のある神様がいるんですよ。
※ 氏神、産土神、鎮守神について/出雲大社紫野教会
わざわざ遠くの神社へ行かなくても、地元の神社で開運パワーをいただけるので、時々ごあいさつに訪れてみてはいかがでしょうか。
お願いごとをするのではなく、「いつもありがとうございます」と感謝をこめて「二拝二拍手一拝」でお参りすれば、神様のパワーチャージになるそうですよ!
ふだんからお参りをすることで参拝方法をしっかり身につければ、もう、どこの神社へいっても、作法を迷うことはありませんね。
たくさんの神様と出会い、よいご縁を結んで、開運パワーをいただいちゃいましょう!
【出典】
◆開運の神様
◆地主神社
◆『神社のしきたり』(浦山明俊著/角川マガジンズ)
◆『伊勢神宮 神の森に参る旅』(ランダムハウス講談社MOOK)
◆『神道の本 八百万の神々がつどう秘教的祭祀の世界』(学研)
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