お写経とは、お経を書き写す仏教の修行のひとつです。
お写経のおわりには、「恋愛成就」「病気平癒」など、お願いごとを書くことができるんですよ。
今回は、誰でも簡単に、しかも自宅でできる、薬師寺のお写経についてご紹介します。
お写経で心のモヤモヤを洗い流し、願いごともしっかり書いて、郵送で納経しちゃいましょう!
目次
薬師寺のお写経はこんなに簡単!
薬師寺のお写経なら、お経を知らなくても、字に自信がなくても、忙しい方でも、まったく問題ありません。
宗教・宗派にかかわらず、誰でもすぐに始められるんですよ!
お手本を下に敷いて写すだけ
薬師寺のホームページで「お写経セット」を申し込むと、お写経用紙、お手本、お写経の作法などが送られてきます。
お写経は、そのお手本を、お写経用紙の下に敷いて書き写すだけ。
間違える心配もなく、とても簡単です!
ただし、お写経の文字は、一文字一文字が「仏さま」だと思って、ていねいに書くことが大切です。
たとえ写すだけでも、文字が雑にならないよう、ゆっくりと筆を運びましょう。
お写経の終わりには、お願いごともお忘れなく!
筆が苦手なら鉛筆でもOK
「筆やすずりは持ってないし、そもそも書道なんてしたことない」という方も、心配ご無用です。
薬師寺のお写経は、鉛筆でもできるんですよ。
おすすめは、芯が濃くて柔らかい6B~10Bの鉛筆です。
わたしたちが薬師寺に納めたお写経は、ご本尊の前でお経をあげたあと、薬師寺の納経堂で永代にわたり供養されます(薬師寺の写経用紙以外のお写経は供養のあとお焚き上げされます)。
ボールペンやマジックだと、経年劣化で文字が消えてしまうので、墨※か鉛筆がよいそうですよ。
※ 筆ペンのインクは純粋な墨ではないものが多いので薬師寺のお写経ではご注意を
数百年、数千年でもお写経の文字が残るように、墨か鉛筆を使いましょう。
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆
少数派ですが、「ガラスペン」でお写経をする方もおられるそうです。ガラスペンは通常、万年筆用の染料インクなどを使用しますが、墨でもきれいに書けるそうですよ。気になる方は、ぜひお試しください!
自分のペースで1日一文字でも
薬師寺のお写経に、提出期限はありません。
般若心経なら、通常、約1~2時間で書くことができますが、ご自分の書きやすいペースで進めることもできます。
1日一文字ずつ、家族で一行ずつ、なんていう進め方もあるそうですよ。
わたしの場合、お写経中は、きれいに書くことに集中してみたり、無心になったり、突然、昔のことを思い出したりして、書いている箇所によって、頭の中がどんどん変わっていきます。
途中で手を止めて、ぼんやりと庭を眺めたりすることもあります。
途中は「まだまだ終わらないなぁ……。」と思いながら書いているのに、残り2~3行になると、いつも「もう、終わってしまうのか」とさみしくなります。
わたしにとって、お写経の時間は、「旅」や「人生」に似ているような気がします。
意味もなく急いで書いてみたり、何度書いても上手に書けない文字があったり。
若いころの自分の生き方と重なって、ちょっと笑えます。
旅も、人生も、お写経も、自分のここちよいペースで、じっくり楽しんで進めるのが理想ですね。
自宅でお写経をする手順
薬師寺のお写経セットは、薬師寺のホームページから申し込むことができます。
ここでは、お写経セットの申し込みから納経までの流れをご説明します。
お経の種類と申し込み方法
お写経セットを申し込むには、まず、薬師寺ホームページの「ご自宅でお写経 お申込み」のページを開きます。
そこで、名前、住所、電話番号、メールアドレス、そして、「希望するお写経の種類」を入力します。
薬師寺へ納経できるお写経の種類は、3つあります。
【般若心経】
お釈迦様の教えの大切な部分を凝縮して説かれた経典。約270文字。また、お手本の裏にはひらがなで文字数の少ない「般若心経のこころ」のお手本も。初めての方や時間のない方におすすめです。
◆所要時間
約1~1.5時間
◆納経料
1巻2,000円
【薬師経】
薬師如来が菩薩のときにたてた12の誓願とその功徳が説かれた教典。約800文字。薬師如来坐像の写佛がついている。病気平癒を祈願される方におすすめ。
◆所要時間約
3~3.5時間
◆納経料
1巻4,000円
【唯識三十頌】
中国の玄奘三蔵によって翻訳された600文字の法曹宗の根本理論。法相唯識教学を学びたい方におすすめ。
◆所要時間約
2~2.5時間
◆納経料
1巻5,000円
どのお写経も、3巻目から、それぞれの御朱印帳が発行されます。
向かって左側がよく使われる普通の御朱印帳、右側が般若心経の御朱印帳。
小さくてかわいいです。
Photo by kii watanabe
Photo by kii watanabe
入力が完了し、送信したら、登録したメールアドレスに、「薬師寺ご自宅でのお写経お申込みについて」という自動配信メールが届きます。
そこに書かれている詳細にしたがって、納経料を入金したら、お写経セットが送られてきます。
すぐに始めない場合でも、お写経セットを粗末にせず、大切に扱いましょう。
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆ 般若心経のお手本の裏にある「般若心経のこころ」は、薬師寺の管主であった高田好胤さん(1924-1998)が、般若心経をわかりやすくまとめた言葉です。 「かたよらない心 こだわらない心 とらわれない心 ひろく ひろく もっとひろく これが般若心経 空の心なり」 怒りや悲しみにとらわれそうになったときに思い出すと、心がスッと楽になりますよ。薬師寺のお写経なら、約270文字の般若心経の代わりに「般若心経のこころ」を書き写して納経することもできるので、いろんな意味で救世主なのです!
心身を清めて、お写経スタート
薬師寺でお写経するときは、首から輪袈裟をかけ、口に丁子を含んで体を内側から清め、香炉を左足からまたいで体を外側から清めます。
自宅でここまでやれとは言われませんが、きれいにかたづいた部屋で、服装をととのえ、手と口をすすいでから始める、くらいの心得があってもよいのかな、と思います。
【自宅でのお写経の流れ】
1.部屋を清浄にします
きれいにかたづけてお線香でお部屋を浄化。ケータイは別の部屋へ。
2.全身を清めます
服装をととのえ手と口をすすぎます。
3.道具を用意します
自分で用意するものは、小筆、墨、すずり、文鎮、下敷きです。鉛筆で書く方は鉛筆と文鎮ですね。
4.着席して合掌します
お写経を始める前に合掌し、短いお経を唱えます(写経セットに入っています)。
5.お写経を始めます
薬師寺からは細かい指示はないので、自分のペースで、ムリのない姿勢で進めましょう。
6.書き終わったら合掌
お写経が終わったら合掌して一礼します。郵送で納経する場合は筒状にして郵便局へ(郵送に必要なものはお写経セットに入っています)。薬師寺へ直接持ち込むこともできます。
ご自宅でのお写経には、いろいろとむずかしい作法があるようですが、薬師寺では、細かい指示はありません。
あくまでも「自分のペースで、やりやすいように、でもていねいに扱ってね」というスタンスなので、あまり気負わずに進めていきましょう。
なお、書き間違えたときの修正の仕方について、わかりやすく説明してくれているサイトがあったので、ご紹介します。
薬師寺のページではありませんが、ほかのどのサイトを見ても、これが修正の仕方のスタンダードのようなので、必要になれば、のぞいてみてくださいね。
お願いごとの書き方
心を落ち着けるためにお写経をする、ということもありますが、お写経には、何のためのお写経なのかを書くスペースがあります。
理由がない場合は空白でもよいそうですが、お願いごとがあるなら、せっかくなので、ご本尊さまに伝えましょう。
薬師寺のお手本には、お経の後ろに「為」という文字があります(ほかのお寺では「右為」と書かれていることもあります)。
通常、その下に「健康祈願」「恋愛成就」「旅行安全」などの文字を入れます。
例)為良縁祈願
今すぐかなえて欲しい願いごとがない場合は、「心願成就」としておくのも方法だそうですよ。
なるほど、最強ですね。
また、四字熟語ではなく、「自分にぴったりの仕事につけますように」「やさしい彼氏ができますように」など、口語体で書くこともできます。
その場合、あたまに「為」は書きません。
以前、薬師寺の寺務所の方に「お写経で父の冥福を祈りたい」と話したところ、
「大切に育ててくれたお父さんに感謝をこめて。お父さんの魂が安らかでありますように、など、文章でもいいんですよ」
と教えてくれました。
その行の中でおさまるなら、どんな書き方でもよいそうです。
ちなみに、うちの旦那さんの願いごとは、いつも「楽」の一文字です。
この文字を書くと、仕事も体も、楽になるそうです。
願いごとも書き方も、十人十色……、ですね(笑)。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、薬師寺の自宅でできるお写経について、以下のことをご紹介しました。
□お手本を写すだけなのでとても簡単
□細筆でも鉛筆でも可
□期限がなく自分のペースで進められる
ムリなく進められて、心がスッキリして、願いごとも書けて、しかも永代供養だなんて、ありがたいですよね。
みなさんも、おうちのスキマ時間を利用して、自宅でのお写経にチャレンジしてみませんか?
【データ】
◆法相宗大本山 薬師寺
【出典】
◆お写経について
◆失敗した写経用紙の廃棄方法。処分に困った時はどうすればいいのか。
◆写経で文字を書き間違えた時の修正方法まとめ
◆写経の願文・願意(お願い事)の書き方
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