2022年11月 書評テーマ【古典】

こは、架空老舗書店の晴天書房。私はお店番のあんずです。

11月1日は「古典の日」
「古典の日」は源氏物語千年紀を記念して2008年11月1日に京都で宣言されたんだそう。

今回は、そんな古典に関連する本をご紹介します!

お店の常連さんに、おすすめの本を聞きました。

晴天書房の常連たち

清少納言より紫式部派 マロン
いつかは読破したい源氏物語(もちろん現代語訳で)、長すぎて手が出せず。誰か読みやすいの知りませんか?

歴史的仮名遣いLOVE ねこマタタビ
歴史や古美術など、年季が入ったものが好きな私。「もののあはれ」を感じながら、日々を過ごしたいものよのう。

源氏物語は一宮推し よっすー
日向市の『短歌と返歌のみを交わす出会いサービス』が好評だそう。顔や年収より感性ある人がモテる平安コード!素敵です。

姫と若君が入れ替わり!?
ドキドキの平安ラブコメ。

【あらすじ】権代納言家に生まれた凛々しい若君・春風(実は姫君)とたおやかな姫君・秋月(実は若君)。二人は宮中デビューを果たし、人々の憧れの的に。しかし徐々に偽りの生活が苦しくなっていき・・・?恋愛小説の名手・田辺聖子さんが古典小説を親しみやすい文で表現。

プレゼンテーター:
清少納言より紫式部派 マロン
氷室冴子さんの小説『ざ・ちぇんじ!』をご存じですか?そのマンガ版を読んでいた私。恥ずかしながら今までもととなる古典があることを知りませんでした。その古典こそが本作。

時は平安、父である権大納言が「取り替えられたらなぁ・・・」とため息をつくほど、立派な青年に育った春風(娘)と、美しい姫に成長した秋月(息子)。春風は頭脳明晰で帝のおぼえもめでたく、宮中でも出世頭に。秋月は尚侍として女東宮に寵愛され、貴公子たちを魅了する存在になります。しかしやがて、性別を偽っているからこその苦悩が訪れることに。

「君の名は。」や「花ざかりの君たちへ」もそうですが、「男女入れ替わり」や「異性なりすまし」は昔からハズさない鉄板ネタなのかも。しかもこの小説、実は少年少女向けに読みやすい文で書かれたものなのでマンガ並みにグングン読める!身構えず、軽い気持ちで楽しみましょう。

異性なりすましは、ハラハラする場面がいろいろありそう!!読みやすいのもいいですね!

 

超メジャー級日本古典文学に
「あるある!」を見いだす爽快感

【あらすじ】『枕草子』や『源氏物語』など、中学や高校でサッと習うだけの定番古典を、現代人にも「あ~!あるある。わかるわ。」と共感できる側面から掘り起こしたガイド的漫画本。

プレゼンテーター:
歴史的仮名遣いLOVE ねこマタタビ
日本語学校で繰り広げられる面白日常や日本語を外国語として俯瞰する楽しさを取り上げ、累計140万部突破のヒット作となった『日本人が知らない日本語』の著者が紹介する、日本の古典アナザーストーリー。

超文系才女の清少納言の結婚相手が、和歌のたしなみがあまりない体育会系の人物だった、紫式部は実は生きづらさを抱えて生きる不器用さんだった・・・など、各古典文学の作者の人となりや時代背景にもフォーカスすることで、より深く作品のテーマや普遍性を感じる内容に。

千年以上経っても、人間は変わらないな・・・とその業の深さを嘆きつつ、現代人が平安時代「あるある」を共感できる部分にも驚かされる。「この作品って、こんなに面白かったんだ!」と、人間哲学として古典文学の扉を、笑いながら叩くきっかけになる一冊だ。

今までにない視点からみる古典文学。漫画なので難しさもなくサクッと読めちゃいますねっ!

千年早すぎた女・弘微殿女御。
まさかの敵側から見る源氏物語

【あらすじ】頭脳も容姿も超一流の弟を持つ二流男の雷は、転職に失敗し絶望中。ある日突然『源氏物語』の世界にトリップしてしまい、皇妃・弘微殿女御と息子の一宮に出会う。一宮の弟こそが、全てが超一流の光源氏。雷は一宮に自分を重ね、光源氏を敵視する弘微殿女御と手を組み暗躍を始めるが・・・。

プレゼンテーター:
源氏物語は一宮推し よっすー
『うだつの上がらない主人公がある日突然異世界に転生、こっちの世では大活躍!』というのが近年爆増中の異世界もの。さらに光源氏の敵・弘微殿女御をメインに据える本作は、流行りの悪役令嬢要素も加わる。これが14年前の着想なのだから、時代の先取り感がいとエグしである。異世界悪役令嬢の古典だ。

主人公の雷はバイト先で源氏物語のあらすじ触れていたため、この先何が起こるのかを次々に言い当て、たちまちスーパー陰陽師となる。ちょっと湿っぽくて複雑だった源氏物語が、バリキャリ女史・弘微殿女御や腹黒桐壺など、“今風”の人物感で整備された途端に分かりやすい一大エンタメに変貌するのが面白い。

雷のコンプレックスが女御の息子・一宮との交流や、周囲の人々の親愛に酔って癒されていく様子も味わい深かった。時代が変わっても、どんなに難解でも、結局読者は登場人物に自分を重ねずにはいられないのかもしれない・・・と平安時代のリアタイ読者に思いを馳せる秋の夜でした。

タイムスリップ!なんと!光源氏ではなく、一宮と弘微殿女御にフォーカスしているのも面白いですね。

 

ご紹介した本まとめ

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いかがでしたか?古典というと「難しそう・・・」と感じた方もいるかもしれませんが、今回は現代要素も取り入れた、古典×現代のミックス本のような感じでしたね。ぜひ、読んでみてください♪