国際交流はもちろん、文章や会話もうまくなる!「やさしい日本語」でコミュ力UP!

「やさしい日本語」って、知っていますか?おもに日本語学習者との円滑なコミュニケーションのために使われますが、実は日本語を母語とする人にもやさしく、便利な日本語なのです。

さらに「やさしい日本語」で考え、話すスキルは、自分自身の外国語学習、日本語での文章や会話の上達にも応用できます。

日本語ボランティアで外国語学習者の筆者が、そんな「やさしい日本語」をちょこっとご紹介します。

「やさしい日本語」ってなに?

日本語のユニバーサルデザインともいわれます。難しい言葉やわかりにくい表現を使わず、平易な言葉と表現で構成する「伝えることを第一優先にした」日本語のことです。

「やさしい日本語」は日本語学習者だけでなく、難しい言葉が分からない子ども、言葉を聞き取りにくくなるシニア、障がいのある人などにも、内容が正確に伝わる日本語として注目されています。

 

具体的にはこんなかんじ!

基本的には小学校低学年で習う簡単な日本語を用い、短い文章にします。
擬音語、熟語、複雑な敬語、方言なども使わないようにします。

「どちらのご出身ですか?いつ日本にいらっしゃいましたか?」
→「国(くに)は どこですか?いつ 日本(にほん)に 来(き)ましたか?」

「こちらの用紙にご記入いただき、お待ちください」
→「この 紙(かみ)に 書(か)いてください。そのあと 待(ま)って ください」

「ここは土足厳禁となっています」
→「ここで くつを ぬいで ください」

「ご不明な点や質問がある場合は、おっしゃってください」
→「わからない ときは きいて ください」

「朝からバタバタしていて、もうクタクタです」
→「朝(あさ)から いそがしい です。今(いま) つかれて います」

書くときは、上の例のように単語や文節の間にスペースを入れ、漢字にはルビをふります。
話すときは、一語ずつをゆっくり、はっきりと標準語で発音します。
「えっと」「あの~」など、会話でよく使う意味のない言葉は入れないようにします。

ところで、こんな経験ありませんか?

外国語を学習したことがある人なら、こんな経験があるのでは?先生の言葉は聞き取れるけど、ネイティブスピーカーの言っていることが分からない…
実はその先生は、その外国語で「やさしく」話してくれていたのです。相手のレベルや習熟度に合わせて、使う言葉や表現を選んで会話する「やさしい○○語」を使っていたということです。

外国語学習者であれば、自分が勉強をしていたときのことを思い出すと「やさしい日本語」で文章を考えるヒントになるかもしれませんね。

外国語学習にも役立つ可能性

私自身の経験からですが「やさしい日本語」で考える技術は、他言語の学習にも役立つと思います。
普段、私たちが日本語で家族や友人と話すとき、おそらく、あまり意識をせずに、感情や経験で思いつくままに言葉を発しているのではないでしょうか。

「やさしい日本語」で話す場合は、まず、言葉そのものよりも「何を伝えるのか」を吟味しないといけません。話しの要点を決める必要があります。そのうえで会話に多用される擬音語や擬態語や回りくどい表現、日常あまり使わない熟語などを極力使わず、「情報を正しく伝える」ことを最優先に文章を考えます。この「伝えることの整理」を頭の中ですることが、外国語学習でも大事なことだと感じています。母語そのものに頼らずに、伝えるべき内容を頭の中で抽出する作業と言えるでしょう。

日本語の作文や会話にも役立つ

「自分が伝えたいこと」を整理し、それを短く平易な言葉で効果的に伝える技術が身に付けば、人に伝わる文章が書け、さらにその技術は魅力的な会話にもつながると思います。
ちなみに筆者は英会話力を上げるために英語圏に滞在しましたが、帰国後に日本語の文章が上手くなる、という少し不思議な体験をしています(笑)。外国語学習を通じて「何を伝えるのか」をしっかりと考えて、頭の中ですばやく整理する癖が活かされた結果だったと感じています。

「やさしい日本語」は、主に日本語学習者とのコミュニケーションのために生まれたものですが、日本人同士にとっても、正しく情報や意見を伝えるために役立つ、便利なスキルです。さらに外国語学習や日本語の作文、会話にも使えるツールといえます。

国際交流や言葉によるあなた自身の魅力アップにぜひ、役立ててください!

 

★参考/文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」

http://www.moj.go.jp/isa/content/930006072.pdf

各市町の多文化共生課や民間の国際交流協会などでも「やさしい日本語」に関する講座の開催やパンフレットの配布をしています。興味のある方は、ぜひ問い合わせてみてください。