ここは、架空老舗書店の晴天書房。私はお店番のあんずです。
「時代小説って堅苦しそう・・・」
いやいや、ファンタジーやエンタメ要素と掛け合わせた、サクッと読めるものもありますよ!
そんなタイムスリップした気分になれる2作品をご紹介しましょう。
時空を超えて、エンタメの世界へ行ってらっしゃい!
お店の常連さんに、おすすめの本を聞きました。
晴天書房の常連たち
明治は今に似てる。 YUMMY 幕末維新の時代小説は多いけれど、明治は新旧雑多の世相が面白い!
江戸~昭和モノが好き ぐっち 『ゴールデンカムイ』を読んで、今は明治にどっぷり。思わぬところから軍帽好きが露見する。キエッ!
お困り事なら、わが寺へ。
よろず相談お請けします。
【あらすじ】 明治20年、廃仏毀釈も落ち着いた頃、僧冬伯は廃寺となっていた東春寺を建て直した。檀家もないため困り事のよろず相談を始めると、ぽつぽつと客人が訪れ始める。僧侶兼相場師の型破りな冬伯と弟子の名コンビが、客人たちの悩みを解決しながら、師僧の死の真相を追う連作短編小説。
プレゼンテーター:
明治は今に似てる。 YUMMY
東京浅草の東春寺は、相場師も兼ねるユニークな僧冬伯と弟子の玄泉が切り盛りしている。今日は幽霊が現れた料理屋の女将が経営不振の相談に訪れ、またある日は出生の秘密に悩む大店の跡取り息子など。
相談を受けた冬伯と幻泉の軽妙なやりとり、冬伯の人情味あふれる裁き方も面白い。彩り豊かな全5話の短編から驚きの広がりが・・・・。
朝日新聞の連載をまとめた畠中恵さんの新刊で、まず御坊の装丁が目をひいた。小気味よいテンポで人情話が展開され、明治の庶民の生活の空気まで伝わるようだ。
寺を維持するために相場師でお金を稼ぐ生臭?冬伯が魅力的で、ぜひドラマ化を期待したい。キャスティングは冬伯に岡田将生、弟子の幻泉は宮沢氷魚、2人の色気のある坊主姿を見てみたい。

トンデモ妖術者らの死闘を描く
まさに“和製マーベル”な一作
【あらすじ】400年来の宿敵として対立してきた伊賀と甲賀の忍法二族。三代将軍の選定をめぐる徳川家の紛争によってその手綱が解かれ、秘術の限りを尽くして繰り広げられる地獄絵巻が始まった!壮絶な死闘の果てに漂う哀しい慕情とは…!?風太郎忍法帖の記念碑的傑作。
プレゼンテーター:
江戸~昭和モノが好き ぐっち
冒頭の風待将監と夜叉丸の戦いぶりを見て、「これは忍者なのか?」と訝しんだあなた。はい正解!なぜならここに登場するのはみな、毒息を吐けたり、壁や地面に体を溶け込ませたりできるマーベルシリーズ級の能力者なのだから。
時は江戸。あるのは三代将軍を決めるための代理戦争を、伊賀・甲賀の精鋭十人ずつに行わせるというトーナメントの場だけ。あとは各自策略を練って、敵を討つのみ!妖術の多彩さや攻撃の意外性、対戦のカードで勝負が決まるなど、終始ドキドキハラハラ。
しかも中には敵どうしの恋人たちや恋敵、兄妹などがいて、それぞれの愛憎劇に泣かされたりする(私は陽炎推し)。歴史を知らなくてもキャラの魅力でどんどん読み進められてしまうのだ。
磨き上げられた武術や心理術を競う忍者の闘いというよりも、生まれ持っての超体質による肉弾戦の趣が強いけれど、5ページ読むともう虜。山田風太郎先生の“筆術”にかかってみよう。

ご紹介した本まとめ

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