2022年9月 書評テーマ【失恋】

こは、架空老舗書店の晴天書房。私はお店番のあんずです。

気づけばもう9月、秋らしい気候になってきましたね。

夏の恋も終わり、すこし寂しい時期です。。。

今回は「失恋」の本をご紹介します。

お店の常連さんに、おすすめの本を聞きました。

晴天書房の常連たち

失恋もできるうちが花 マロン
Amazonプライムの過去ドラマにハマり中。「逃げ恥」などのムズキュンもので恋愛の感覚を思い出す今日この頃。
体調が落下しがち よっすー
クロアチアの「失恋博物館」には世界中から集められた恋の形見が解説付きで展示されているそうです。行ってみたい。
夫婦って闇? YUMMY
結婚して32年、夫婦の関係性を保つには、距離感が大事かなと。火星人と金星人ほど違う男女なら、近づき過ぎて火傷をしないよう、衛星のように回っているのがいいみたい。

フレッシュな果実のように
酸っぱくも爽やかな失恋。

【あらすじ】高校の入学式に寝坊したことがきっかけで、クラスでも目立つ存在の小津奈槻とその幼なじみ・池住颯太と仲よくなってしまった瀬川るり。希望を捨てて入学した高校で、個性的な仲間たちと出会い、恋愛や人間関係を通して本当に好きなものに気づいていく物語。

プレゼンテーター:
失恋もできるうちが花 マロン
恋愛といえば少女マンガ!「失恋」と聞いて思い出すのは、昔大好きだった岡野史佳さんの本作です。主人公のるりは有名なイラストレーターの娘。本当は絵が好きなのに「◯◯の娘」といわれてしまうことを気にして描かなくなり、第一志望の高校にも落ち、忙しい母に代わって家事に追われる冴えない日々。

しかし入学した高校で、オレンジの髪で不良を気取っているちょっと強引な奈槻、不愛想に見えるけど本当はやさしい颯太、2人の男の子と親しくなるうちに何かが動き出します。そして無理やり入らされた美術部で出会った、部長・テンちゃんとその元カノ・カナコさん。

恋心は複雑な矢印を描き、誰もが報われない想いを抱いて、るりも切ない失恋を経験します。好きになったりなられたり、振ったり振られたり、誰もが経験する甘酸っぱ~い青春の味を思い出したくなったら、ぜひ手に取ってみて!

いろいろなことに悩みながらも成長する高校生たちの爽やかな青春!あぁあの頃に戻りたいです。。。

恋は儚い。それでも、
永遠に続いていく一瞬がある。

【あらすじ】梨果の八年越しの恋人・健吾が家を出た。それと入れかわるように押しかけてきた健吾の想い人・華子と何故か同居する事になった梨果は、彼女の不思議な魅力にとりつかれていく。憎むことも愛することもできない奇妙な三角関係を温かく切なく描き出す、恋愛小説の新しい波。

プレゼンテーター:
体調が落下しがち よっすー
主人公が15ヶ月かけてゆっくりと失恋に向き合う物語だった。あらすじからドロドロ愛憎劇を想像してしまっていた。もちろん未練や執着や惰性も描かれるけれど、そこは江國作品らしく、清潔に澄み切っていて明るい。三人の日常の描写がどこか夢の中のように儚く遠く、夕陽が照らす水面のようにきらきらしているせいかもしれない。まるで晩年の誰かの美しい回顧を眺めているかのような、安らかな気持ちになる。

──じゃあ、梨果さんも一緒に逃げる?
──どこに行くの?

物語の後半、まじめな梨果が華子につられて家を飛び出してしまい、夜の海を二人で寄る辺なく歩く印象的な場面がある。その後の展開を知った上で読み返すと、ただひたすらに哀しく、美しい場面だ。やがて歪な三角関係は姿を変え、彼女は動き始める。

そう、恋は本来格好悪いもの、愛は儚さの対極にあるものだったのだ。みっともなくても馬鹿みたいでも、あなたはきっと彼女を笑えない。ぜひ見届けてあげてほしい。

別れた人の想い人と同居って不思議な状況すぎます・・・。

寝取られても、騙されても
夫を捨てられない!?

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【あらすじ】新しいおもちゃを欲しがる、子どものような夫。離れに住む嫁を嫌いながら、面と向かっては対面を繕う姑。脳梗塞で倒れた舅の入院で、家族の微妙な亀裂が鮮明に浮かびあがる。夫婦とは何か、愛人とは何か、家とは何か。正気を失ったかに見える妻の未来は。

プレゼンテーター:
夫婦って闇? YUMMY
主人公の桃子は寿退社で仕事を辞め、夫の真守と共に高級住宅街にある実家の離れに暮らす。隣の姑の監視するような視線に耐えながら、人目には幸せな生活を送っている。しかし、夫の出張帰りのカバンに、いつになくきれいに丸めて畳まれた下着に疑念を抱く。

大好きな吉田修一の本作は、こぼれる砂のように妻の喪失を描く。「この人がいなくなるという状況が想像できない。もしいないとすれば、鏡の前に立っているのに自分の姿がそこに移らないような・・・夫婦というものはそういうものなのかもしれない。私とあなたがいるのではなく、私がいるからあなたがいて、あなたがいるから私がいる。」桃子の独白に、ゾッとするのは私だけだろうか。

依存しあう関係が夫婦であるなら、私は怖くてそんな関係性には踏みだせない。心が壊れていく桃子、愛人に振り回される真守、失意の先に見えるものとは?

泥沼のように見えて、実は多くの夫婦が抱えている問題なのかも?

ご紹介した本まとめ

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いかがでしたか?失恋は誰もが経験することですね。でもきっといい出会いが待っています。すべての人に幸あれ!