からっぽペンに禁断のインク補充!気になる再利用を検証してみた

からっぽぺん再利用

お気に入りの万年筆インクなどでオリジナルペンが作れる、人気の「からっぽペン」。

すでに使われている方の中には、「使い捨てです」「インクの補充はできません」の表記に、モヤモヤしている方もおられるのではないでしょうか。

今回は、そのモヤモヤを解決すべく、からっぽペンの再利用を検証しました!

からっぽペンを上手につくるコツ

インクの補充についてお伝えする前に、まずは、からっぽペン(ほそ芯)の基本的な作り方を簡単にご説明します。

インクもれを防いでキレイに仕上げるには

2からっぽぺんPhoto by kii watanabe

からっぽペン(ほそ芯)の作り方はとても簡単です。

セットに入っている綿芯を、作りたいインクボトルに浸してインクを吸わせるだけ。

1からっぽぺんPhoto by kii watanabe

綿芯をボトルに入れてから数秒で勢いよく吸い上がるので、目を離さないようにしましょう。

からっぽぺんPhoto by kii watanabe

半分以上吸い上げれば使用できますが、8割程度吸わせるのが理想です。

わたしは「少しでも長く使いたい!」と、ギリギリまで吸わせたので、使っているうちにペンの内側でもれてきちゃいました。

からっぽぺんPhoto by kii watanabe

綿芯には薄い膜が張られているので、さわっても手にインクがつきません。

8割程度インクを染みこませたら、指でつまんで引き上げ、浸っていた部分についているインクをティッシュなどでふき取ります。

綿芯をペン本体に入れて後ろの栓(尾栓)をして、フタに色のシールを貼れば完成です!

からっぽぺんPhoto by kii watanabe

インクにもよりますが、1~2分で書けるようになります。

5からっぽぺんPhoto by kii watanabe

他のインクも、同じ手順で完成。

6からっぽぺんPhoto by kii watanabe

どのインクも、万年筆で書くより、少し薄く出るようです。

わたしは、ふだん使いのペンとして使っていますが、文字を書くには、ちょうどいい色合いですよ。

万年筆インクは染料系がおすすめ

3万年筆インクPhoto by kii watanabe

からっぽペンに使うインクは、染料系がおすすめです。

顔料系ラメ入りインク古典インク※1などは吸い上げが悪く、書くときにも、それぞれの特色がうまく出ないようです。
※1 鉄分や酸性分が入ったインク。時間が経つと鉄イオンの酸化により黒っぽく変化する

香り付きの染料インクを試してみたところ、綿芯をボトルに入れて10分以上たっても、半分ほどしか吸い上げませんでした。

2万年筆インクPhoto by kii watanabe

当時は、ギリギリまでインクを入れても大丈夫だと思っていたので、スポイトを使って強引に後ろ側からインクを注入※2
※2 注意書きには「綿芯の両側からインクを入れない」とあります

それでも、ノーマルな染料インクより、綿芯が含んでいるインク量が少ない気がしますが、色も香りもちゃんと出てきました。

また、染料インクで作ったからっぽペンは、色が薄いながらも、インクの量はしっかり出てくるので、文字にキレイな濃淡が出るんです。

濃淡は、文字をキレイに見せてくれるので、からっぽペンを使うようになってから、他のペンは使わなくなりました。

さらに、なかなか減らず、もてあましていた万年筆インクの消費量も増えて大助かり。

これでまた、キレイな瓶や好きな色の万年筆インクを集められます!

1万年筆インクPhoto by kii watanabe

カートリッジ式は細筆・毛筆のみ

8からっぽぺんPhoto by kii watanabe

からっぽペン(ほそ芯)は、原則として再利用ができません

遅れてカートリッジ式が発売されましたが、残念ながら、ほそ芯ではなく細筆毛筆のみ。

これらは、イラストを描くにはいいかもしれませんが、文字をたくさん書くことには向いていないように思います。

10からっぽぺんPhoto by kii watanabe

わたしは、ほそ芯のカートリッジ式だと勘違いし、喜んで4本も買ってしまいました。

仕方がないので、とりあえず万年筆インクを入れてみると、インクが透きとおってキラキラとキレイで、机の上が賑やかに。

9からっぽぺんPhoto by kii watanabe

ペン先が太いので、マークしたりアンダーラインをひいたりするのに便利ですね。

ちなみに、ペン先を下にしてたてておくと、次に書くときに、インクが多めに出てしまう(ような気がした)ので、わたしはペン先を上にしてたてています。

逆に、ほそ芯はペン先を上にすると、綿芯のうしろから入れすぎたインクがにじみ出てしまうので、ペン先を下にしています。

11からっぽぺんPhoto by kii watanabe

綿芯に含ませるインク量を、ちゃんと8割にとどめている方はどちら向きでも大丈夫かもしれませんが、ご参考までに。

からっぽペンの再利用を検証

作り方を見るかぎり、「インクが薄くなったら、また綿芯にインクを含ませればいいのでは?」と思いますよね。

実際にやってみると、メーカーが再利用を推奨しない理由が少し分かってきました。

では、実際のインク補充の様子を見ていきましょう。

背徳感だらけのインク補充

からっぽペンの注意書きには「尾栓を付けた後、取り外すことはできません」とあります。

確かに、開けやすい仕様ではないので、1回目は歯で開けました。

文房具を口に入れるのは小学校以来ですね(笑)。

2回目は、爪でグリグリしていたら開きました。

メーカーの「株式会社呉竹」さんに申し訳ないなぁ……、と思いながらも、ペンの中の綿芯にスポイトでインクを注入

えらいことになりました。

条件付きで再利用は可能

ノーマルな染料系の万年筆インクの場合、意外と速く綿芯の中を流れるようですね。

後ろからインクを注入してすぐ、ペン先でインクがだだ漏れになりました。

1からっぽぺん再利用Photo by kii watanabe

ちゃんとキャップしていてよかった……。

ちなみに、キャップは2段階になっているので、小さな「カチッ」のあとの大きな「カチッ」までしっかり閉めましょう

さて、この写真、一見残念すぎる結果に見えますが、「染料系の万年筆インク」を「ボトル買い」している者としては、痛くもかゆくもありません。

染料系インクは水で洗えばすぐに落ちるし、インクはたっぷり残っています。

と、言うことでキャップを水洗いしました。

2からっぽぺん再利用Photo by kii watanabe

キャップはキレイになりましたが、他のペンと比べてもわかるように、ペン先にインクがしみています。

3からっぽぺん再利用Photo by kii watanabe

思い切ってペンごと分解。

4からっぽぺん再利用Photo by kii watanabe

綿芯以外を水で洗いました。

6からっぽぺん再利用Photo by kii watanabe

水で流すだけでキレイになるなんて、からっぽペンも万年筆インクも優秀ですよね。

ますます、再利用に向いていると思うのは私だけでしょうか。

ペンの中は、ティッシュ1枚を丸めてひねり、棒状にしてふきます。

5からっぽぺん再利用Photo by kii watanabe

分解した際に、綿芯の中のインクもかなりティッシュにしみだしたので、スポイトでインクを再注入。

7からっぽぺん再利用Photo by kii watanabe

これを、先述した作り方で組み立て、試し書きしてみると……。

8からっぽぺん再利用Photo by kii watanabe

めっちゃ薄い!

ペン先も水で流したので、水が残っていたのかもしれません。

しばらく書いていると、ちゃんともとの色に戻りました。

万年筆インクの色Photo by kii watanabe

こちらの試し書きは、上から

・水が混ざっているからっぽペン
・通常のからっぽペン
・ガラスペン
・万年筆

で書いた色です。

インクは、WATERMANのミステリアス・ブルー

ウォーターマン・ミステリアスブルーPhoto by kii watanabe

万年筆インクはなかなか減らないので、からっぽペンでふだん使いできるようになったことは、とてもありがたいですね。

【結論】
尾栓が開けにくい」「綿芯に補充するインクの量がむずかしい」などの問題点はあるものの、少なくとも1~2回のインク補充はできそうです。

持続的な再利用、という点については、次の章でお伝えします。

再利用が推奨されない理由

からっぽペンを解体したり、洗ったりして気づいたことが3つあります。

1.インク補充は想定されておらず、量をまちがえれば、ペン先、キャップの中、ペン本体の中がインクだらけになる構造

2.インクを補充するごとに綿芯の中にインクの粒子が詰まり、だんだんインクを吸わなくなることが予想される

3.ペン先にも耐久性が期待できず、雑に扱うと割れてしまい、書くときに引っかかるようになる

つまり、使い捨てを想定して、素材も構造も最低限の仕様なので、再利用しても使い勝手は保証されない、ということですね。

その分、コストはかなりおさえて作ってくれているので、推奨されているとおりに使い捨てで使うか、1~2回の再利用で買換えるのがよいのかもしれません。

わたしは、すでに新しいからっぽペンをたくさん購入していますが、どこまで再利用できるのかも知りたいので、続けて試していきたいと思います。

3回目のインク補充にチャレンジしました!
~2021.11.1 追記~
2回目の補充から約1か月後、インクが薄くなってきたので、3回目のインク補充をしてみました。分解してみると、どうやら綿心の真ん中あたりのインクだけがうすくなり、外側にはまだインクが残っている様子。でも、実際にかすれて書けなくなっていたので、綿心をボトルにさしてインクを補充しました。すると……。
からっぽペン_インク補充Photo by kii watanabe
補充後、書きはじめてすぐ、ペン先・ペン尻の両方から、じわっとインクがもれてきました(写真下)。文字は問題なく書けるのですが、ペン先から1㎝ほどのところに小さな穴が2か所あるので、もれてこないかヒヤヒヤ。3回目のインク補充の直前くらいからペン先が傷んで書きにくくなっていたので、このへんが潮時かなぁと感じました。
【3回目のインク補充をしてみての結論】
・安心して使用するには再利用しないのがおすすめ
・再利用する場合はインク漏れ覚悟で1~2回まで

メーカー(株式会社呉竹)さんが「インク補充はできない」といわれるのには、ちゃんと理由があったということですね。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、からっぽペン(ほそ芯)は再利用できるかどうかを検証してみました。

結論として、インク漏れが心配されるため、再利用は推奨されないものの、1~2回のインク補充は可能ということがわかりましたね。

からっぽペンは、万年筆インク好きの救世主でもあります。

使い捨て、再利用にかかわらず、くれぐれもインク漏れに注意しながら、からっぽペンを愛用していきましょう!

 

【データ】

からっぽペン/株式会社呉竹