2023年5月 書評テーマ「祝!母の日」

 

こは、架空老舗書店の晴天書房。私はお店番のあんずです。

母と娘をテーマにした小説は、なぜか仲が悪かったり、憎んでいたり、恨んでいたり。。。
「毒親」なんて言葉が生まれたりと、関係性が悪いものが多いように感じます。

今回は、ギスギス、ドロドロはない!「母」小説をご紹介します。

お店の常連さんに、おすすめの本を聞きました。

晴天書房の常連たち

寛大な母にはなれそうもない マロン
何を言っても「右から左」の子どもたちにガミガミ怒ってばかり。息子たちよ、やさしい母でいさせておくれ。
だしの素の血脈を継ぐ よっすー
混んでいるけど母の日のケーキ屋さんが好きです。基本的に幸せな人ばかりなので空気がおいしい。
されど、母と娘 YUMMY
結婚してからも母とはずっと同居。マスオさんの夫は気兼ねがあったろうけど、母と娘は実弾でバンバン撃ち合うように口論していた。

人を疑うことを知らない
やさしい母に訪れた悲劇

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【あらすじ】 東北の寒村に生まれた小林多喜二の母、セキ。嫁ぎ先の零落や長男の死を経験しながらも、貧しくも明るい家庭を築いていた。多喜二が反戦小説を書き、特高に追われる身となっても彼の理想を信じ、大きな愛で見守ったセキの、波乱に満ちた一生を描く。

プレゼンテーター:
猫好きだけど猫アレルギー マロン
『蟹工船』で有名な小林多喜二の母セキが、東北なまりで訥々と思い出を語る小説。小さな頃から働き者だったセキは、嫁いだ小林家でも夫はもちろん舅姑にもかわいがられます。その後、婚家が落ちぶれて夫婦で労働に出たり、長男が病死したり、小樽で小さなパン屋を営んだりと目まぐるしく変わってゆく環境。

しかしどんなに生活が大変でも小林家の人々は愚痴や悪口を言わないのです。穏やかであたたかい家庭の中、子どもたちも思いやりのある人に育っていきます。そのやさしさがやがて「貧しい人々を助けたい」という多喜二の理想と共産主義につながり、生活に影を落とすのですが・・・。

義兄が事業で失敗しようが、息子がよくわからない思想に傾倒しようが、家族を信じて見守るセキ。まさに「偉大な母」であったセキの周りにはいつもやさしい人々が集い、悲劇でありつつも胸がじんとするあたたかな感動をくれる物語です。

どんなことがあっても家族を信じる母の強さがかっこいいです!

 

母と分かち合った文化が、
私の中で鼓動を続ける。

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【あらすじ】 韓国人の母とアメリカ人の父をもつ「私」は、オレゴンの田舎で多感な時期を過ごし、その息苦しさから逃れるように遠方の大学に進学した。バンド活動にのめりこむも芽が出ず、将来に不安を感じ始めた頃、母親の病気の知らせが届くーミュージシャンとしても活躍する著者の自伝的小説。

プレゼンテーター:
ゆく猫くる猫・5匹目 よっすー
「Hマート」はアジア食材を専門に扱うスーパーだ。アジアにルーツを持つ人々が故郷の味を求めにやってくるその場所で、「私」はいつも泣いてしまうーーそんな冒頭から始まる本書は母娘の思い出が切々と綴られておりとってもエモーショナルなのだが、その記憶が全部“韓国の母ちゃんが作る美味しそうな料理”に彩られているもので、ほろりとしつつお腹も空くという貴重な読書体験になった。

ミックスルーツの子の生きづらさについても深く触れられている。彼らはどの国にも所属できていないような不安定感の中で育ち、親との別れは母国への架け橋を失うことに等しい。「私」も母を失い激しい孤絶感に苛まれるが、自分の手で韓国料理を作ることで悲しみの淵から抜け出していく。

私は娘でもあるが母でもあるので、思春期の彼女の苛立ちも、黙って料理する母の心情も、どちらもよく分かってしまい胸の中が甘苦しかった。誰もがめぐる命の流れの中にいることを思わずにはいられない。

ほろりと泣ける、愛に満ちた物語ですね♪

 

女であり、母である。
その生き様に感動する

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【あらすじ】「神田のお龍」の異名を持つ母が、「病院で錯乱した」との電話を受けた咲子。徳島に帰郷して、母を看病することに。自分の出生の秘密や末期ガンの余命宣告、母の献体の希望など、知らされていなかった事実に直面した娘と母の想いを優しくアーチを描く眉山が見守る。

プレゼンテーター:
されど、母と娘 YUMMY
名曲を数多く手掛けるさだまさしさんの小説。徳島弁の温かさ、「阿波踊り」の熱気、母と娘の情愛を描く筆力には脱帽する。

その母は、人生のすべてを掛けて愛した人の子どもを欲しがった。妻を捨てられない男は、故郷の徳島には帰らなかった。神田の店をたたんで、誰も知らない徳島に移り住んだ龍子は、お店を切り盛りしながら咲子を育てる。ある日、お父さんが死んだなんて嘘よね、と思春期の咲子は母に詰め寄る。母は江戸っ子の気風のよさそのままに事実を認め、ショックを受けた娘は母と距離をおくようになる。

夏まで持たないといわれた母を「阿波踊り」に連れ出すと、混み合う見物人の中に父が姿を現す。命の最期にすれ違う二人。それでも視線を合わさない母の毅然とした姿、矜持に泣かされること間違いなし。
ー私はそういうふうに生きてきたのだ。ー

娘の前で気丈に振舞う母の強い生き様を描く!

ご紹介した本まとめ

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いかがでしたか?どの本も「母」としての強さ、かっこよさ、一人の女性としての芯の強さが描かれているのではないでしょうか。やっぱり「母」は周りの人を見守り、包み込む。そんな温かさがありますね~