観葉植物には、「水やりが少なくても育つ」「暑さや寒さに強い」など、いろんなタイプがあるのをご存知ですか?
見た目だけではなく、ご自分の経験値やライフスタイルに合わせて観葉植物を選ぶと、枯らしてしまう失敗も少なくなりますよ。
今回は、育てる方に合わせて、育てやすい観葉植物を選ぶ方法をご紹介します!
目次
経験値別の選び方
まずは、育てる方の経験値別に、育てやすい観葉植物を見ていきましょう。
初心者さんにおすすめの観葉植物
いきなり、こむずかしい話になりますが、初心者の方は、日本と同じ気候区(温帯)に自生する植物を選ぶと育てやすいですよ。
例)マッサンゲアーナ(幸福の木)やコンシンネなどのドラセナ類、ゴムの木類、ヤシ類、シェフレラなど
イメージ【写真AC】 ドラセナ・レフレクサ
サボテンなど乾燥帯(砂漠)の植物や、アジアンタムなど熱帯(ジャングル)の植物は、気温や湿度を調節しないと葉姿が乱れてしまいますが、温帯の植物は、日本の四季に順応するタイプが多く、過保護にお手入れしなくても元気に育ってくれます。
また、西日本など暖かい地域なら、温帯以外の観葉植物でも、屋外で越冬できる種類があるんですよ。
例)アイビー、オリヅルラン、クラッスラ(金のなる木)、シュロチク、ストレリチア、ハイビスカス、ヤツデなど
イメージ【写真AC】 シュロチク
さらに、一年中室内の日光が当たる場所なら、以下の観葉植物もむずかしくはありません。
例)サンセベリア、シーグレープ、ツピタンサス、ディジゴセカ、トックリラン、リュウゼツランなど
イメージ【写真AC】 リュウゼツラン・アガベ
育てやすくたくさん出まわっているので、「よく見る種類ばかりだなぁ……」と思われるかもしれませんね。
けれど、ここでご紹介した観葉植物は、暑さや寒さでへこたれないタイプばかり。
初心者さんでも失敗が少ない観葉植物として、おすすめですよ!
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆
観葉植物の多くは日本の冬が苦手です。冬に購入した株は弱っていることが考えられるうえに、成長する姿も暖かくなるまでは見られません。観葉植物は、春~夏に購入することをおすすめします。株がひょろひょろと徒長しているものは避け、新しい芽が出ている元気な株を選びましょう。
初心者さんはポトスにご注意?
「初心者さん向け」と紹介される観葉植物として、ポトスがあります。
イメージ【写真AC】 ポトス
ポトスなどつる性の植物は、手をかけなくてもぐんぐん伸びて、初心者の方でも「上手に育てている」感覚を味わうことができます。
ただし、長く放置していると、つるの先端ばかりに葉がつき、根元の葉が枯れてスカスカになってしまうことも。
そうなると、根元から短く切り戻す「剪定」が必要になり、これは、初心者さんには、なかなか勇気のいる作業となります。
元気な葉っぱごと、根元付近からバッサリ切り落とすので、鉢の中はいったんまるぼうずに。
「ホントに大丈夫!?また葉っぱ出てくる?」と、めちゃくちゃ心配になるのではないでしょうか。
もし、不安ながらも切り戻しにチャレンジされる場合は、剪定する前に、元気な茎で挿し芽※をして、新しい個体を作っておくと安心です。
※ 植物の根以外の部分を切りとり土などに植え根を出させて増やす方法。木本類では「挿し木」、草本類では「挿し芽」という
イメージ【写真AC】 ポトスの挿し穂(挿し芽に使う茎や葉)
万が一、元の株から新芽が出てこなかった場合は、新しい株と入れ替えちゃいましょう!
……と、いう感じで、つる性植物は簡単そうに見えて、わりと手間がかかることがあるのです。
初心者さんのうちは、つる性植物はあとまわしにした方が無難かもしれませんね。
経験者さんには半つる性がおすすめ
植物を育てた経験のある方なら、大型の半つる性植物がおすすめですよ!
例)シンゴニウム、モンステラ、ヒメモンステラ、フィロデンドロンなど
イメージ【写真AC】 ヒメモンステラ
これらの観葉植物は、幼苗のうちは株立ちに見えますが、実は半つる性で、育つうちにヘゴ板などに巻きつける「誘引」が必要となります。
ヘゴ板を使った仕立ては、誰にでも簡単にできるわけではありませんが、うまく仕上がると、かなりゴージャスな葉姿になりますよ。
観葉植物栽培のステップアップとして、かっこよく見える誘引にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
ライフスタイル別の選び方
次は、育てる方のライフスタイル別に、観葉植物を選ぶ方法をご紹介します。
お手入れこまめ派さん向き
観葉植物は、もともと管理が簡単なものが多いので、こまめにお手入れができるのであれば、ほとんどの観葉植物が選択肢に入ります。
定期的に霧吹きで湿度を上げたり、細やかに温度管理ができるなら、高温多湿を好む熱帯(ジャングルなど)の植物も上手に育てられそうですね。
例)アジアンタム、レザーファン、アスプレニウム、プテリス、フィットニア、カラジウムなど
イメージ【写真AC】 アジアンタム
これらはどれも人気ですが、葉が薄く水枯れしやすいため、失敗する方が多い種類でもあります。
お手入れこまめ派さんにとっては、腕の見せどころではないでしょうか。
ぜひ、みずみずしい葉っぱのまま元気に育てて、ブログやガーデニングのコミュニティサイトなどで自慢しちゃいましょう!
お手入れルーズ派さん向き
おうちに観葉植物を置きたいけれど、できるだけ管理が簡単なほうがいい、という方は、乾燥帯(砂漠など)の植物はいかがでしょうか?
例)サボテンなど多肉植物、サンセベリア、ハートカズラ、グリーンネックレス、ハナキリン、アデニウムなど
イメージ【写真AC】 多肉植物
乾燥帯の植物は、葉が肉厚なものや、茎・根に貯水組織があるものが多く、水やりは週に1回程度など、かなり少なめです。
成長も比較的ゆっくりなので、剪定や植え替えなどの作業もほとんどありません。
また、初心者の方の章でおすすめした、ドラセナ類、ゴムの木類、ヤシ類などにも、管理が楽なタイプがたくさんありますよ。
お手入れルーズ派さんは、お手入れこまめ派さんの章でおすすめした「葉が薄く根が細い水枯れしやすいタイプ」は避けるようにしましょう。
あまりおうちにいない派さん向き
イメージ【写真AC】 旅行中の水やりの例
外出や出張などでおうちをあける機会が多い方におすすめの観葉植物は、お手入れルーズ派さんとほぼ同じです。
数日間の旅行などであれば、水やりを助けてくれる商品もありますよ。
外泊が1か月以上になる場合は、植物の栽培はおすすめできませんが、サンスベリアや多肉植物なら、休眠期には断水することができるので、長期外泊予定の時期が決まっているのであれば、ご検討されてはいかがでしょうか。
【夏に休眠する多肉植物】
アオエニウム、コノフィツム、ダドレア、リトープス、冬型コーデックスなど
イメージ【写真AC】 リトープス
【冬に休眠する多肉植物】
アガベ、アローディア、サボテン、ユーフォルビア、夏型コーデックスなど
イメージ【写真AC】 ユーフォルビア・カラシアス
参考記事:暑さや寒さで枯らさない!屋外で多肉植物を上手に育てるコツとは
楽しみ方別の選び方
最後に、楽しみ方別におすすめの観葉植物をご紹介します。
大きくダイナミックに育てたい!
まっすぐ上に伸びる「直立性」の観葉植物は、鉢を大きくすればどんどん大きく育ちます。
とにかく大きく育てたい!という方は、観葉植物の成長にあわせてどんどん鉢を大きくしていきましょう!
【成長が早い観葉植物】
例)ウンベラータ、アレカヤシ、ゴムの木類、シェフレラ、サンスベリアなど
イメージ【写真AC】 ウンベラータ
わが家のウンベラータは、毎年3月に高さ1m程度に切り戻し、10月頃には部屋の天井近く(約3m)まで伸びて12月に成長をとめる、を繰り返しています。
高さ1mに切り詰めるたびに、「もう新芽が出ないんじゃないかな……」と不安になりますが、4月にはちゃんと新芽を出して、10月には天井近くまで成長します。
日当たりが良いせいか、ホントに成長が早いです。
【成長は早いけどひと手間かかる観葉植物】
例)パキラ、幸福の木などドラセナ類など
イメージ【写真AC】 パキラ
パキラやドラセナ類は、成長は早いのですが、そのぶん葉姿が乱れがちです。
特に、贈りもの用に仕立てられたタイプは、見た目を重視して成長には向かない植え方をされていることがあり、剪定や植え替えには経験者のアドバイスが必要になることも。
パキラもドラセナ類も、もともとはとても育てやすい種類なので、ご自分で選ぶときは、「ぎゅうぎゅう詰めの3本植え」など、無理な植え方になっていない鉢を選ぶと、手間も少なく育てられますよ。
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆
観葉植物をプレゼントする場合、できるだけ園芸店などに足を運び、直接選ぶようにしましょう。ネットで買うと、状態のよくないものが送られることがあります。いきなり枯れる観葉植物に、贈られた側はよい気はしませんし、処分も大変です(筆者体験)。開店祝いなど、お祝いごとの場合は特に、信頼できるお店で、自分の目で選ぶことをおすすめします。
小さいままで気軽に楽しみたい
ミニ観葉など、小さな観葉植物を完全にそのままの大きさで育てるのは、むずかしいかもしれませんね。
こまめに剪定をして、植え替え時には根を切り詰め、鉢を大きくしなければ、こぶりなままで楽しむことはできますよ。
どうしても小さいままで楽しみたい場合は、挿し木(挿し芽)や株分けをして新しいミニ観葉を作るという方法も。
その場合、元の株は植物好きな人に譲るか処分しないと、観葉植物はどんどん増えてしまいますよ。
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆
その名前から竹だと思われてる方も多い「ミリオンバンブー」。実は「幸福の木」と同じドラセナ類です。短いものは10㎝の長さで販売されているので、小さいまま楽しめそうに見えますが、あのぴょこんと出ているかわいい芽が、ぐんぐん伸びていくんですよ。先ほどお伝えした「成長は早いけどひと手間かかる観葉植物」の仲間で、「このあとどうしたらいいの!?」となるおそれがあるので、「小さくて育てやすそう」というかる~い気持ちで手をだされませんように。
花も咲かせてみたい!
熱帯の観葉植物の花(正確には苞)はエキゾチックですよね!
例)オーガスタ、アナナス類、アンスリウム、花キリン、アデニウム、ハイビスカス、ブーゲンビレアなど
イメージ【写真AC】 エクメア・ファスキアタ
気をつけたいのはアナナス類で、一株につき一度しか花(苞)は咲きません。
株の根元から出てきた子株に、2年後に花が咲くまで花(苞)の観賞はおあずけです。
また、少し地味になりますが、これらの種類も花をつけるんですよ。
例)オリヅルラン、サンスベリア、クワズイモ、ドラセナ類、ヤシ類など
イメージ【写真AC】 オリヅルランの花
サンスベリアの花は、香りで開花に気づくほど、なんともいえない甘~い香りがただよいます。
イメージ【写真AC】 サンスベリアの花
花についている蜜も、ちゃんと甘かったですよ。
植物は、株を充実させる「成長期」をすぎて、「繁殖期」に入ると花や実をつけます。
どれくらいで繁殖期に入るのかは植物にもよりますが、花を咲かせたいあまりに、たくさん肥料を与えていると、葉が茂るばかりで花がつかなくなることも。
花を咲かせる時期を操作しようとせず、植物が好む環境を整えて、開花を楽しみに待ちましょう。
待ちに待った花芽を見つけたときは、めちゃくちゃ嬉しいですよ!
まとめ
いかがでしたか?
今回は、経験値やライフスタイルに合わせた観葉植物の選び方をご紹介しました。
魅力的な観葉植物はたくさんありますが、見た目だけで選ぶと、思いがけず気むずかしいタイプを選んでしまうことも。
はじめは、むずかしい管理がいらない種類を選んで基本の育て方を知り、徐々にステップアップしましょう。
せっかくの観葉植物がストレスにならないように、楽しんでくださいね!
関連記事:観葉植物には毒がある?観葉植物のよくある疑問にお答えします!
【出典】
◆『はじめての観葉植物の手入れと育て方』/ナツメ社
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