ガーデニングの中で、植木鉢選びは、もっとも楽しい作業のひとつですよね。
植木鉢にはいろんなタイプがありますが、それぞれの特徴を知っていれば、植物やインテリアに合わせて、スムーズに選ぶことができますよ。
今回は、植木鉢の素材別の特徴や、サイズの測り方、植物に合せた選び方をご紹介します。
私の「植木鉢選び失敗談」も披露しちゃいますので、そちらもぜひ、参考にしてくださいね!
目次
植木鉢の種類と特徴
植木鉢は、素材によって特徴が違います。
しかし、「乾きやすい」素材の鉢でも、水もちの良い培養土を使ったり、水やりをこまめにすることで、水分を好む植物でも使用することができるんですよ。
あくまでも「特徴」として、(なんとな~く)頭に入れておいてくださいね。
素材別に見る植木鉢の特徴
まずは、植木鉢を7つの素材に分けて見ていきましょう。
【素焼鉢】
700~800℃の低温で焼いた鉢。多孔質で通気性・排水性が良い。植物全般に使用できる。培養土が乾きやすいので水を好む植物はこまめに水やりを。割れやすく、コケなどで汚れやすいデメリットも。
【駄温鉢】
約1000℃の高温で焼いた鉢。素焼き鉢よりきめが細かく丈夫。素焼き鉢には劣るが通気性・排水性は良い。鉢上部にぐるりと釉薬がかけられていて盆栽の仕立てにも使われる。アジサイなど多湿を好む植物向き。
【陶器鉢】
約1300℃の高温で焼いた鉢。強度がある。全体に釉薬がかけられているため通気性・排水性は劣る。デザインが豊富で栽培よりも観賞を重視したものが多い。鉢カバーとしても利用できる。
【テラコッタ】
イタリア語で「焼いた土」という意味。海外の素焼き鉢といわれているが性質は駄温鉢に近い。明るい茶色でアンティーク調などデザイン性があるものが多い。現在はヨーロッパ、東南アジアから輸入されている。
【プラスチック鉢】
軽くて割れにくく扱いやすい。色・デザインが豊富で安価。野菜専用や底面給水鉢など機能的な鉢も多い。保湿性は高いが通気性は劣るので根腐れに注意。植物全般に使える。
【木製鉢】
間伐材などで作られた鉢。油分の多いマツやスギ製は長持ちしやすい。ナチュラルな見た目が人気だが比較的高価。寄せ植えに使われることが多い。培養土が乾きやすいので水もちをよくする配合を。
《参考》プランター培養土は手作りがおもしろい!土の基本をわかりやすく解説
【リサイクルポット】
古紙から作られた鉢で、素焼き鉢のように通気性・排水性がよく、プラスチック鉢のように軽くて壊れにくい。耐久性は3年程度で、使用後は可燃ゴミで出すか土に埋めると土にかえる。
これらのほかに、金属、ガラス、石、コンクリートなどでできた鉢もあるんですよ。
それぞれの特徴と植物の育ち方をあわせて考えて、管理のしやすいものを上手に選んでくださいね。
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆
見た目を気にしなければ培養土の入ったビニール袋の底に穴を開けてそのまま野菜の苗などを植えることもできますよ。保水性・保肥性・排水性・通気性が確保できれば見た目に関係なく植物は育ってくれるのです(笑)!
植物も喜ぶ!機能性の高い植木鉢
少~し、おしゃれ度は下がりますが、植物の特徴に合わせた、便利な植木鉢もあるんですよ。
【底面給水鉢】
鉢の下に水槽がついたプラスチック製の鉢。鉢底から給水用のヒモが水槽にたれて水を吸い上げる。土の上に出ている球根部分に水がかかるとカビが生えやすいシクラメンの栽培などで使われる。このように鉢底から給水させるタイプの鉢では、鉢底にゴロ石を入れるとヒモが給水できなくなることがあるので注意。
【ピートポット】
ピートモス※を圧縮して作った育苗用(種まき用)ポット。発芽した苗を抜かずに、そのままポリポットなどに移植できるので根を傷めない。
※ ミズゴケが堆積腐熟したもの。腐葉土に似た性質で保水力・保肥力がある
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆
苗を育てるポリポット(ビニールポット)は鉢底で水が腐りやすく長期の栽培には向きません。ある程度育った苗や買ってきた苗はできるだけ早く一回り大きな植木鉢に植え替えましょう。
【スリット鉢】
鉢底から側面にかけて何本かスリットが入っている鉢。スリット部分から排水しやすく空気が入りやすいので排水性・通気性がよい。鉢の中で根がぐるぐるまわるサークリング現象が起きにくい仕様になっている。根の生育には良いが、おしゃれ度が落ちる、軽すぎて倒れやすいというデメリットも。
植物ファーストの植木鉢は、どうしても見た目が後回しになっていますよね。
おしゃれ度を下げないためには、一回り大きなおしゃれポットに植木鉢ごと入れる、というのも、ひとつの方法ですよ!
鉢の号数とは?
鉢の大きさは、号数で表されます。
1号は直径3㎝なので、5号鉢は直径15㎝、10号鉢は直径30㎝ということですね。
通常、いちばん広い部分(上部)の外側を測ります。
受皿も号数で販売されていますが、植木鉢と同じ号数でそろえようとしても、「あれ?小さい」と思うことがあります。
植木鉢の号数にとらわれず、できればお店で実際にあわせてみて、ちょうどいいものを購入してくださいね。
すでに植木鉢があって受皿だけ買う場合は、必ず植木鉢の「鉢底」の直径を測り、それに合せて受皿を選びましょう。
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆
籐カゴなどの鉢カバーに入れる場合は鉢カバーの底(内側)の寸法を測っておくことをお忘れなく!「鉢は入るのに受皿が入らない!」という失敗、実はよくあるんですよ。
植物ごとのおすすめ鉢
次は、植物の成長のしかたによって、合う鉢を見ていきましょう。
背が高くなる植物の鉢
例)ゴムの木、ドラセナ類、シェフレラ、ウンベラータなどの観葉植物、トマト、キュウリ、ナス、エンドウなどの野菜
鉢の高さは植物の1/3程度が良いとされています。
背が高くなる植物は深さのある「長鉢」を選びましょう。
植え替えの基本は「一回り大きな鉢」ですが、野菜類やチューリップなど、植え替えを嫌う植物は何度も植え替えなくても良いように、成長する大きさに合わせて鉢を決めます。
植え替えに耐える植物でも、「次の植え替えまでにはこれくらい伸びるかな」と想像して、植木鉢の大きさ(深さ)を決めてくださいね。
つる性やランナーを出す植物の鉢
例)オリヅルラン、アイビー、ポトス、グリーンネックレスなど
オリヅルランのようにランナーがでる植物や、アイビー、ポトスなど「つる性」の植物、また、フクシアなど、下から見たほうがキレイな植物には、ハンギングバスケットがおすすめです。
ワイヤーバスケットなどを使って、下からその姿を楽しみましょう!
寄せ植えや葉もの野菜のコンテナ
例)草花の寄せ植え、ミントなど横に広がるハーブ、葉もの野菜など
複数の植物を植える大型の植木鉢のことをコンテナといいます。
コンテナは、花の寄せ植えや、横に広がるハーブ類、葉もの野菜の植え付けなどに適しています。
コンテナは大型のものが多いため、土を入れると動かすのが大変です。
置き場を変える可能性がある場合は、プラスチック製の軽いタイプがおすすめですよ。
また、野菜の栽培用には、深さがあり支柱が立てやすいものなど、機能性が高いタイプがあります。
野菜専用プランターを上手に活用して、野菜を元気にのびのびと育て、たくさん収穫してくださいね!
見た目も大切!おしゃれ鉢の選び方
ガーデニングは、育てる喜びも大切ですが、飾った姿も楽しみたいですよね。
ここでは、植物やインテリアに合わせた植木鉢の選び方をご紹介します。
植物やインテリアにテイストを合せて
植木鉢の選ぶときには、植物の種類や、周りのインテリアにテイストを合せましょう。
アジアンスタイル、和スタイル、ナチュラルスタイル、モダンスタイルなど、雰囲気に合せて質感や素材を選ぶと、しっくりとなじみやすいですよ。
また、おしゃれな鉢の中には、植物の栽培には向いていないものもあるので、植物はプラ鉢などに植えて、それごとおしゃれな陶器鉢や籐カゴなどの鉢カバーに入れちゃいましょう。
鉢カバーを利用すれば、別の植物と入れ替えるのも簡単ですね。
サボテンや多肉食物などの小さな植木鉢なら、お気に入りのカップなどに入れて飾ることもできですよ。
☆☆☆ ONE POINT ☆☆☆
室内で陶器鉢や籐カゴなど自然素材の鉢カバーを使うとカビなどが発生することがあります。陶器鉢の受皿から水分がしみだして床を汚すこともあるので「洗える小さな敷物を敷く」「風通しを良くする」など工夫しながら飾ってくださいね。
植物をジャマしないアースカラー
植木鉢の色で迷ったときは、あわいアースカラーがおすすめです。
クリームがかったベージュやグリーンなど、やさしい色合いなら、どんな植物にでも合せやすいですよ。
葉っぱや花の色を引き立てるのなら、断然ホワイトです。
観葉植物のみどりとの相性は抜群で、咲く花の色もジャマしません。
マニアごころをくすぐる黒鉢
多肉植物や山野草、オモト、ランなど、愛好家が多い植物では、よく黒鉢が使われています。
素材はプラ鉢、釉鉢などいろいろですが、黒は太陽光を集めて冬でも根を温められる、という理由もあるそうですよ。
黒鉢は、植物の姿を際立たせるだけではなく、愛好家たちの愛情がたっぷりつまっているのです!
やっちゃった!鉢選びの失敗例
最後に、私が「この鉢かわいい!」と衝動買いをして失敗した例や、街で見かけた「この鉢、こうなっちゃうのか……」という、残念な鉢の例をご紹介します。
失敗の原因と、その対策もお伝えしますので、「それならクリアできそう!」と思われたら、ぜひその鉢たちも選択肢に入れてあげてくださいね!
受皿が浅すぎるおしゃれ鉢
雑貨屋さんなどに並んでいるおしゃれな鉢の中には、たま~に栽培に向いていないものがあります。
よくあるのは、「受皿がめちゃくちゃ浅い陶器鉢」です。
水やりは、鉢の中の空気の入れ換えも含めて、「鉢底穴から水が出るくらいたっぷりと」が基本ですが、それらの鉢でそんなことしたら、その辺りがびしょ濡れになってしまいます。
実際、私も会社のカーペットをびしょ濡れにして、しみだらけにしてしまいました。
《対策》
◆水やりのときだけ、深めの受皿の上に移してたっぷり水やりをする
◆空気の入れ換えはあきらめて、水が湿る程度にそっと水やりをする
私は両方を体験しましたが、どちらもなかなかのストレスでした。
栽培に向かないおしゃれ鉢を使う場合は、直接植えるのではなく、鉢カバーとして使うのがいいかもしれませんね。
陶磁器鉢からしみ出るカルキ
地域によって違うかもしれませんが、大阪市の水道水には、消毒のために「カルキ(次亜塩素酸カルシウム)」が含まれています。
このカルキが、素焼き鉢や陶器鉢の隙間からしみ出して、白い汚れとなって付着するのです。
一度ついてしまうとなかなか取れず、たわしなどでこするか、ひどければ金具などを使って、ガリガリと削り取ることになります。
《対策》
◆水道水にカルキが含まれている地域では、浄水器を通した水で水やりをする
◆こまめに削り取る(慣れるとちょっと楽しい)
「カルキもコケも風合い!」と楽しめる方は大丈夫ですが、それ以外の方はもう、汚れたら買換えるほうが簡単かもしれません。
素焼き鉢などは意外と安価です。
使わなくなった焼き物の鉢は、小さく割って、鉢底石代わりに使うこともできますよ。
この木なんの木?ボロボロの木製鉢
木製鉢は、スギやヒノキなど、油分を含んだ木でできているものが長持ちします。
わが家の木製鉢も、20年近くになりますが、西日にもたえてよくもってくれていますよ。
ただし、枯れた植物を入れたまま何カ月も放置して、ボロボロに崩れた木製鉢を見たことがあります。
中の土も乾ききって崩れた箇所からこぼれだし、哀愁ただよう姿をさらし続けていました。
《対策》
◆地面に直置きしない、風通しの良い場所に置くなど、木が傷まないよう配慮する
◆カラカラに乾かした状態で長く放置しない
囲いの鉄がさびて木がバラバラに崩れている木製鉢は、なかなかホラーな姿になります。
お庭の片隅にホラースポットができないように、最後まで大切に使ってあげてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、植木鉢の基礎知識とその選び方についてご紹介しました。
植木鉢の素材は植物の水やりなどにも影響し、見た目も大きく左右します。
素材が持つ特徴を理解して、人にも植物にもやさしい、ストレスフリーなガーデニングを楽しんでくださいね!
【出典】
◆『やさしい鉢花の育て方』尾亦房子著 西東社
◆『用土と肥料の選び方・使い方』
◆『グリーンアドバイザー認定講習テキスト基礎編』
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