登山の醍醐味を教えてくれる『山と食欲と私 1巻』レビュー

山と食欲と私

アウトドア派の間で大人気の登山コミック『山と食欲と私』。

実は、登山やキャンプをしない方でも楽しめるんですよ!

物語の中心は、27才の会社員、鮎美(あゆみ)が作る「アイデア山ごはん」。

今回、ご紹介する第1巻には、まだまだ普通の域をでないものの、「うわっくさそう!」「山でそれ作る!?」というおもしろメニューも掲載されています。

さらに、ちょっとクセのある鮎美の人柄にもご注目。

登山中のトラブルを、妄想やひとりごとで切り抜け成長していく姿に、プラス思考の大切さを教えられますよ(笑)。

それでは、『山と食欲と私 1巻』のあらすじ・見どころ・感想をご紹介します。※ネタバレは(たぶん)ありません

アウトドアに興味がない方にも、読んでいただけるきっかけになればうれしいです!

インドア派でも楽しめる『山と食欲と私 1巻』の魅力

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「第1巻あるある」かもしれませんが、『山と食欲と私 1巻』も、物語を楽しむための基本的なエピソードで構成されています。

主人公鮎美のひととなり、登山のちょっとしたテクニック、お手軽な山ごはんなどがわかりやすく紹介されているので、登山経験の有無にかかわらず楽しめますよ。

ここでは、第1巻のあらすじ・見どころ・感想を、できるだけネタバレせずにご紹介します。

『山と食欲と私 1巻』のあらすじ

主人公の鮎美は、27才の会社員。ほとんどの週末は、山ごはんの材料を背負って、1人で山へ出かける「単独登山女子」です。

第1巻では、鮎美の登山を通じて、食べるタイミングの大切さ、山頂で作る料理の楽しみ方、おいしい料理(時にはその妄想)がいかにメンタルを助けてくれるか、などが描かれています。

物語に出てくる料理は、山頂で作る山ごはんだけでなく、家で作っていくお手軽行動食や、山頂で会ったグループにおすそわけしてもらうパーティメニュー、下山後に食べるガッツリ肉料理なども。
※ エネルギー不足を防ぐため登山の途中で立ったまま、または歩きながら食べる高カロリーの食べ物

また、登山での失敗や、人間関係の葛藤を重ねながら、鮎美が成長していく様子も必見です!

鮎美が身をもって教えてくれる登山の醍醐味

この物語のいいところは、鮎美が登山・山ごはんの「スペシャリスト」ではないこと。

いろんな失敗を通じて、登山や山ごはんの難しさやおもしろさを教えてくれます。

ここでは、第1巻12話の中から、よりおすすめしたい見どころを5つ、ご紹介します!

少~しセリフのネタバレがあるかもしれませんので、ネタバレ完全NGの方はご注意ください。

【4話 背徳の炭水化物祭り】
登山前日の鮎美のお弁当を見てびっくり!スポーツ選手でもないのにそのメニュー、アリなの?翌日の登山で持久力を発揮するための食事方法のお話。うらやましい!

【5話 トラブルに立ち向かう姿に感動】
5話目にして初のトラブル!こんなときに限ってアレもコレも…!たたみかけるように襲いくるトラブルの前で「前を向いて鮎美!」と自分を叱咤激励する姿に胸を打たれます。

【7話 全部ひっくるめて登山】
気が滅入るような登りのあとに待っている山頂での最高の時間。途中の天候に振り回されずに山頂をめざせば、違う景色も見られるということを教えてくれます。

【9話 集中力を得意の妄想で復活】
登山は集中力が落ちる下りが危険。落ちた集中力を復活させるために鮎美の妄想が炸裂します!妄想の中の「鮎美応援団」に励まされて行き着く場所にもたくましさを覚えます。

【10話 登山を始めたくなる鮎美の名言】
若者グループの登山を年配の登山者が笑うシーンで鮎美が放ったひと言、「他人の山行に口を出すべからず」。自分スタイルでいいんだ、と思わずソロ登山を始めたくなります。

以上、ぜひ読んで欲しいおすすめエピソード5話をご紹介しました。

見どころはまだまだありますが、『山と食欲と私』は、登山をメインとして読むか、山ごはん、または鮎美のキャラクターを楽しむのかによって、見どころは大きく変わってきます。

ぜひ、実際に読んでみて、ご自分の見どころを見つけてくださいね!

『山と食欲と私 1巻』を読み終えて

この物語の中で、私が一番おもしろいと思ったのは「鮎美の思考」です。

例えば、山上での人の渋滞で鮎美が感じること、トラブルで落ち込む様子、落ち込みからはい上がる様子など、すべて「わかる、めっちゃわかる!」と共感できます。

もう、作者は27才の女性ではないかと思うほど。
※ 作者の信濃川日出雄さんは新潟県出身の男性

だからこそ、鮎美が経験を重ねて成長していく姿がうれしいんですよね。自分も一緒に上がれる気がして。

今後も、鮎美の盛大な失敗やトラブルとそのリベンジに期待します(笑)。

あとは、鮎美が電車やバスを利用して山へ向かうところも好きです。

鮎美が車移動だと、「私は車運転できないし……」と思ってしまいそうですが、電車・バスなら、自分にもできそうですよね。

鮎美のソロ登山のおかげで、登山がずいぶんと身近に感じられるようになりました。

今は、鮎美の行動や思考を楽しんでいますが、これを十分に堪能したら、次は登山目線で、その次は山ごはん目線で読み直してもおもしろいんじゃないかな、と思います。

3度おいしい、おすすめの物語ですよ!

ところで、登山ってどうやって始めるの?

山と食欲と私

『山と食欲と私』のあらすじ、見どころを読んで、少し登山に興味がわいたかも……、という方のために、登山の基礎知識について簡単にご説明します。

登山・トレッキング・ハイキングの違い

私も以前から気になっていたんですが、どうやら、登山、トレッキング、ハイキングに、明確な定義はないようです。

使い分けとして、よくいわれているのは、

◆登山は山頂をめざして山を登ること

◆トレッキングは必ずしも山頂をめざすものではなく山歩きを楽しむもの

◆ハイキングはなだらかな山道や整備された遊歩道を歩き自然に親しむこと

ということ。

でも、山頂ギリギリまで登ったのに、悪天候で登頂できなければ登山とは言えないのか?というと、そうではない気がしますよね。

難易度で言うと、登山>トレッキング>ハイキング、というイメージらしいので、それをふまえて、自己基準で「トレッキングに行ってきた」「登山、楽しかった~」など、使い分けるとよいのではないでしょうか。

ちなみに、私は、登山未経験者さんの前では、えらそうに「登山に行ってきた!」といいますが、登山経験者さんの前では、「山歩きの練習してきました~」と言います。

使い分け、大事ですよ(笑)

登山に最低限必要なものは?

実際に、ちょっと登ってみようかな、という場合は、まず、靴から準備しましょう。

山では、整備されていない道も多く、足首がグネグネと動いて疲れてしまいます。

舗装された道路になれている私たちの足首は弱いので、はじめのうちは足首を固定してくれるハイカットシューズがよいそうですよ。

靴が準備できたら、次はザックです。

日帰り登山、テント泊登山など、スタイルによって必要な容量が違うので、まずは日帰り用に20~30リットル程度のものを探してみてはいかがでしょうか。

普段の荷物の多さにもよるので、お店で、実際にカバンに入っている持ち物をつめさせてもらうとわかりやすいかもしれませんね。

靴とザックが用意できたら、あとはレインウェアがあれば、最低限の登山グッズはそろいます。

レインウェアは、風よけや寒さ防止にもなるので、晴天でも持ち歩くことをおすすめします。

その他、救急セットやタオルなどのこまごましたものは、山行の計画によって必要なものを用意しましょう。

登山は、計画や準備だけでも楽しいので、「買うとしたらこのザック」「行くとしたらこの山」という感じで、エアー登山を楽しんでみるのもアリかもしれませんね。

お金もかからず、「密」も気にせずにすんで、おもしろそうです!

登山での「食」はいろんな意味で大切!

登山において、食事は楽しむだけのものではなく、エネルギー補給の意味が強くなります。

以前、登山に出かけたとき、登山口ですでに疲れ切っていたパートナーが、おにぎりを1つ食べることで、無事に山頂までたどりつけた、ということがありました。

他にも、ちょっと疲れてきたときに、飴やチョコレートなどを口にすると、元気が回復することも。

普段の生活ではわかりにくいですが、すぐにエネルギーになる炭水化物やあまいものって、いざというとき、大切なんですね。

摂取カロリーと消費カロリーを上手にコントロールできるようになれば、普段のダイエットにも役立ちそうです!

まとめ

いかがでしたか?

今回は、アウトドアの人気コミック『山と食欲と私 1巻』をご紹介しました。

冒頭でもお伝えしましたが、このお話は登山をするかどうかに関係なく、楽しむことができます。

スト-リーがおもしろいだけではなく、登山の知識は防災に役立ち、山ごはんの知識は普段の食事にも使えるんですよ。

ただし、私のおすすめはどちらでもなく、鮎美の「メンタル復活術(妄想)」です。

登山にも、山ごはんにも今のところ興味がないわ、という方は、ぜひ、鮎美の心情にココロを寄せて、一緒に泣き笑いを楽しんでくださいね!

 

【データ】
◆『山と食欲と私 1巻』

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◆著 者:信濃川日出雄
◆出版社 : 新潮社
◆発 行:2016年4月

【出典】
トレッキングとは? 登山との違いや事前に準備したいもの、注意点など詳しく解説/ALPEN GROUP MAGAZINE