2021年9月 書評テーマ【装丁買い】

 

こは、架空老舗書店の晴天書房。私はお店番のあんずです。


買う予定がなかったのに、表紙に惹かれて思わず買ってしまった本ってありますよね♪

表紙から想像した内容と実際の中身とのギャップを感じつつ読み進めていく。
そんなジャケ買いの醍醐味を感じられる2作品をご紹介しましょう。

お店の常連さんに、おすすめの本を聞きました。

晴天書房の常連たち

見た目だけでは買わないよ マロン
本は中身、特に文調を重視。惹かれる表紙でも、中をパラパラめくってなじまない文章だったら即、閉じる。


書店巡りは出会い系!?  YUMMY
装丁も不穏だけど、その不穏のまま、ずっと引傷られていくように、読み切りまで疾走させられましたよ。

 

 

ファンタジー感がバシバシ
伝わる表紙にズキュン!

【あらすじ】 大好きな母親が病死して以来、本の囁きが聞こえるようになったデイヴィッド。ある日、母の声に導かれ、幻の王国に迷い込んでしまう。
そこはおとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが蠢く、美しくも残酷な世界。元の世界に戻るため、彼は謎に満ちた旅に出る。


プレゼンテーター:
【見た目だけでは買わないよ】マロン

ファンタジー好きな私。表紙を見て『ネバーエンディングストーリー』のような不思議な世界に誘われ、さまざまな冒険をする少年の話を思い浮かべました。「面白いに違いない」と読み始めたら、これが大当たり!ただしこの物語は『ネバー…』よりずっとダークなお話です。主人公を取り巻く状況は、より暗くてつらい。

舞台は第二次世界大戦下のイギリス。母の死、父の再婚、継母との不和、腹違いの幼い弟への嫉妬、深刻になる戦争。入り込んでしまった異世界でも、残虐な怪物に次々と襲われ、この世界に誘い込んだ得体のしれない男の、ぞっとするような企みへと引きずり込まれていくのです。

おとぎ話のダークなアレンジも挟まれつつ進む話はグロテスクな場面も多いのですが、協力者との出会い・別れを繰り返しながら少年はたくましく育っていきます。表紙のワクワク感を裏切らない壮大な冒険譚にぜひ魅了されてください!

ダークな世界で繰り広げられるファンタジー物語!面白そうです!

 

 

仮面に隠れた少女の姿に
想像力をかき立てられた。

【あらすじ】  顔面偏差値をAIがはじき出すルックスコアが流行る高校で、その最下層にランクされる男子生徒がいじめにより自殺する、その年後に今度は弁護士が同じ場所から転落する。この2つの事件を追うことで、法理論「原因において自由な行為」との類似性が浮かびあがる。


プレゼンテーター:
【書店巡りは出会い系!?】YUMMY


「原因において自由な行為(原自行為)」とは、「加害者が意識不明の状態で殺人を行った場合、責任なしで無罪といえるか?と云ったケースで、最初から相手を殺す意図があってアルコールや薬物の力を借りて実行した原自行為は罪に問える」という法律からのタイトルである。

作家である紡季の恋人、想護は弁護士でスクールロイヤーとして、自殺した生徒のいる高校を担当していた。「あいつは、なんか違う。だから、仲間外れにしよう。それが一番厄介で、しかもいじめの大多数を占める攻撃の動機だと思う。」とは想護の転落を一緒に調べる法律事務所の上司の言葉。学校という場で形づくられる学級ヒエラルキーの中でのいじめの構造はやるせないが、結末に導かれるにつれはぁー??な展開に・・・。

五十嵐さんは弁護士だそうで、登場人物の生と死それぞれの過程を調べあげていく展開と法律用語は勉強になるかな。うーん、装丁買いは☆☆ふた~つ!

 

現代の学校が抱える問題に触れることで、日常ではあまり関わることのない法律が身近に感じられる本ですね。

 

紹介した本まとめ

あんず
装丁買いした2作、いかがでしたか?

ジャンルの違う2冊が揃いましたね。
皆さんもぜひジャケ買いしてみてください!