【晴天書房】眠れない夜長に、眠らずに読む本 書評3選

ここは架空老舗書店の「晴天書房」。

看板娘のあんずと常連客が、あなたの本選びをお手伝いします。

 

 

晴天書房の常連たち

マロン
淡々と進む静かな物語も、手に汗握るスペクタクルも好き。本が面白すぎて夜更かししすぎた経験も幾多。

ぐっち
市川春子さんや大島弓子さんなど、「余白」が語る漫画が大好き。どれも詩的で、夜にぴったり。

ヤミー
ハーレクインを愛読して、女性ホルモンの減少を補っている私。嘘のような誠で、科学的な証明もされているんですよ。

 

こんな常連さんたちがセレクトする眠れない夜長に、眠らずに読む本」とは?

 

人生を賭け、改暦という
大事業に挑む男の熱い物語

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KADOKAWA
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岡田准一さん主演で映画にもなった一冊。徳川家綱の治世に、囲碁の名家の棋士として徳川家に仕えながら算術の腕を見込まれ、改暦という大プロジェクトに抜擢された人物の物語です。これだけ聞くと碁、算術、改暦と難解そうで地味な単語が並び、ドキドキハラハラとは無縁かと思いきやさにあらず。物語はいきなり、いよいよ改暦が決まるクライマックスから始まります。積み重ねた苦労に答えが出るその時、主人公が思い浮かべたのは人生が変わったあの瞬間…

そして時は一気に戻り、そもそもの始まりへ。碁打ちという職業に情熱が持てず、算術こそ求めていたものだと気づく主人公。どんどん夢中になっていくものの、綺羅星のごとく現れた天才に打ちのめされ、憧れと嫉妬を抱きます。その悔しさを晴らすように抜擢された改暦の事業に情熱を傾けますが、800年も使われていた暦を覆すのはそう簡単ではありません。緻密な観測と計算が必要なだけでなく、暦を司ることは、実は政治・経済をも支配することにつながる。時代柄もあり、一歩間違えば殺されかねないまさに「命を賭けた」任務。緊迫した場面も度々あり、映画化されるのも納得のドラマティックな展開でぐいぐい引き込まれます!

あんず
日本独自の和暦がつくられたのは、これが初めてだったそうです。

 

ふいに流れた映画のように、
深夜の孤独に沁みるSF短編集

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不眠症の建築士と建物の声が聴こえる青年のほのかな交流を描いた表題作をはじめ、夜のすき間にそっと寄りそうSF短編漫画集。限りなく抑制されたタッチで描かれる、夜の闇、明け方の光、空気の質感。絵はごくシンプルだけれど、その余白からは登場人物たちの心の機微が饒舌に立ち上ってくる。

描かれるのは、近くて遠い不思議の世界。夏休みの大学生が戦時中のフランス軍用機のパイロットと遭遇する「夏休みの町」は、ゆるやかに過ぎていった名もなき時間こそがかけがえのないものだったことを教えてくれるし、まわりとの違和を抱える女の子が団地の屋上で過ごす老人と出会う「青いサイダー」は、孤独な心どうしのつながりがやさしい痛みとともに提示される。そっと秘密を打ちあけられるような密やかな空気が全編を通して漂っていて、静寂の中、胸が静かに脈打つのを感じるような手ざわりがある。

どの物語にも共通するのは、「何か」の終焉。不意にもたらされた孤独の癒えや子ども時代の終わり、それらが鮮やかに、ピリリとした切なさを伴って深く胸に迫ってくる。読後、「そういえば昔、大切にしていたものがあったなぁ」と、静かなノスタルジーに浸れる一冊。寡作でも傑作ぞろいの町田作品、同じく『惑星9の休日』もおすすめです。

あんず
淡々と進むストーリーの中に、心救われる「何か」があります。

 

魔力、一族、戦闘に恋?
ネバダとマッド ローガンの
魅力に惹き込まれる

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ハーレクインから刊行の原作だけど、色恋モノというよりHidden Legacy作品。ヒューストンを舞台に、魔力を持つ一族同士が覇権を争って戦う物語は、まるで映画を見ているようで読みだしたら止まらない。翻訳されている続編『白き刹那』『深紅の刻印』の3部作は電子書籍化されているので、眠れない夜にストレスなく一気読みできる。

本篇の背景に触れると、1863年にヨーロッパの科学者たちが人間の魔力を目覚めさせるオシリス血清を発見する。当初は軍事力強化のために兵士に与えられた。しかし、力を失いつつあった貴族階級が血清を手に入れ、富める者はさらなる富を求め魔力を使い始める。血清はしまい込まれたが、魔力は両親から子どもへと受け継がれた。

そうして1世紀半が経ち、ヒューストンの街に小さな家族経営の探偵事務所を経営するネバダが登場する。彼女は審問者で嘘を見破り自白させる魔力の持ち主。ある捜査依頼を受けたことから、魔力界の超エリートで狂気の虐殺者の異名を持つマッド・ローガンと出会う。この二人が難事件に立ち向かうのだが、サイコキネシスのローガンと審問者のネバダ、その家族たちの丁々発止のやりとりが滅茶苦茶面白い。火や水や動物を操るなど、さまざまな魔力の持ち主が現れるのも興味津々。眠れないなら眠らずに、奇想天外な魔力が放たれる異世界を耽読するのはいかが?

あんず
NYタイムズのベストセラーリストで1位を獲得した、超・人気作家の作品なのです。

 

紹介した本まとめ

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あんず
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