ほかのスポーツに比べて、競泳は失格などトラブルが少ないイメージがありませんか?
実は、同じ競泳でも、初心者の中学・高校生が出場できるようなアマチュアの水泳競技大会になると、わりとアレコレおこっているんですよ。
今回は、私が中学・高校生のころに体験・目撃した、水泳競技大会でのハプニングについてご紹介します!
目次
50mプールってどんな感じ?
多くの水泳競技大会が開かれる50mプール。
初心者にとっては、とてつもなく広く、深く、水が重~い(と感じる)このプールについて、初心者スイマー目線でご紹介します!
短水路と長水路
競泳用のプールには短水路(25mプール)と長水路(50mプール)があります。
選手たちは、少し縮めて「短水」「長水」と呼んでいます。
イメージでいうと、小学校にあるようなプールが短水、オリンピック選手が大会で泳いでるプールが長水です。
長水は深さもあり、大阪の公式水泳競技大会で使われていた長水は、スタート地点、折り返し地点が1.5m、真ん中あたりは2mでした。
慣れない長水に四苦八苦
いつもは短水で練習し、大会は長水、ということが多かったので、苦労したこともたくさんありました。
◆ただただ緊張する
オリンピックの競泳会場を想像していただければいいと思いますが、大会の日にいきなりあの大きなプールに放り込まれる感じです。スタンドにいる仲間との距離も遠く、中学生にはなかなかの緊張感でした。
◆スタート台が高いイメージ【写真AC】
短水よりもスタート台の位置が高く、飛び込むのがちょっと怖かったです。ゴーグルや帽子が取れてしまわないか、いつもヒヤヒヤしていました。
◆進んでいる気がしない
イメージ【写真AC】
プールの底が遠いせいか、泳いでいても進んでいる感じがせず、はじめの頃は焦って呼吸が乱れ、精神的にやられました。
◆壁との距離がつかみにくい
私は400m・800m自由形の選手だったので、レース中に何度もクイックターンをしますが、長水に慣れていないせいか、壁との距離がつかみにくく、まわるタイミングが遅れがちになりました。
◆ゴールしても上がれない
イメージ【写真AC】
長水ではプールサイドが自分の頭より上にありました。全力で泳いだあとにその高さまであがるのは至難の業。叱られるのを覚悟で、タイム計測用のタッチパネルに足をかけてよじ登っていました。みんなそんな感じだったので、実際に叱られることはありませんでした。
世界TOPレベルのスイマーたちは、スマートに、つつがなくレースをすすめていますが、あの大きなプールは、経験の浅いアマチュアスイマーにとって、なかなかサバイバルな空間なのです!
気の毒すぎるハプニング2選
中学・高校生の水泳競技大会には、水泳を始めて間もない選手が出場していることもあり、いろんなハプニングが起こります。
その中から、印象に残っているできことを2つ、ご紹介します。
全力で泳いだ後にやり直しレース
競泳では、スタート台に上がって「用意」の号令がかかると、もう動いてはいけません。
審判長のピストルの音より早く飛び込んだ選手がいる場合は、「パンッパンッ」とピストルが2回なり、スタートのやり直しになります。
ところが、まれに、2回目のピストルの音が聞こえず、そのまま泳いでいってしまう選手がいるんです。
その場合、プールサイドから「止まれ~!」と合図をおくるなどして止めますが、その日はそれでも止まらず、50mの折り返し地点で人が飛び込んで止めることに。
通常なら、レース中、自分のコースに別の選手がいることはありえないので、止められた選手はめちゃくちゃびっくりしたのではないでしょうか。
さすがに、このときは、次の組のレースを先にしてからのやり直しレースとなりましたが、この珍事に、プールサイドの審判たちもスタンドの選手たちも、ちょっとした騒ぎになりました。
顔をあげても水の中?ゴーグルの怪
先ほど少し触れましたが、アマチュアの水泳競技大会の場合、スタート台から飛び込んだ直後にゴーグルがとれる、というハプニングは、実はそんなに珍しいことではありません。
ただし、レース中はとれたゴーグルなどにさわる行為は禁止されているので、顔や首にひっかかったまま泳ぎ続けます。
ゴーグルがないと、水中での視界はかなり悪くなるので、呼吸で顔を上げたときに自分の位置を確認し、ターンのタイミングをはかります。
ターンのタイミングさえわかれば、ゴーグルがとれてもさほど問題はありません。
高校時代、100m自由形に出場していた男子チームメイトが、レース後「ゴーグルとれた……」と言いながらスタンド席に戻ってきました。
「スタンド席から応援していて、そんなふうに見えなかったけど?」と思いながら話を聞くと、飛び込んだ際にくるっとひっくり返って鼻の辺りで止まっていたゴーグルが、泳いでいる最中に、またくるっとまわって目の位置に戻ったそうです。
一瞬、「よかったやん」と思いましたが、水中で戻ったなら、ゴーグルの中には水が満タン入っている状態です。
つまり、そのゴーグルをつけているかぎり、顔を上げても下げても、視界は「水中」なんですよね。
彼は、呼吸で顔を上げた際にも自分のいる位置を確認できず、クイックターンでは壁に近づきすぎて、回転中に壁で背中をこすったとのこと。
壁から離れたところで回転して壁に足が届かなかった場合は失格になりますが、背中をこすった場合はどうなるのでしょうか。
「失格にならなくてよかったやん」と、彼を励ましながら「私の800m自由形では、絶対におこりませんように……!」と、心底思いました。
私もやっちゃったハプニング2選
実は私も、水泳競技大会中にいろいろとやらかしているんです。
次は、その中から2つのプチハプニングをご紹介します!
電光掲示板にひとりだけ無視される理由
スタート台の真下の壁には、タイムを計測するためのタッチパネルが設置されています。
ゴール時にそのパネルに触れることで、電光掲示板にコースとタイムが表示されるしくみになっています。
私は最後の最後で隣の選手に抜かれ、0.01秒差で銅メダルになってしまった苦い過去があるので、少しでも早く測定されるよう、手のひらではなく指先でタッチするようにしていました。
そのせいか、パネルに認識されず、私のタイムだけ電光掲示板に表示されないことも(タイムは手動でも計ってくれています)。
自分のタイムだけ完全に無視されると、「え、失格??」なんて、ヒヤリとしますね。
先輩からは「つき指する勢いで突け!」と叱られ、上手に押せるようになるまで、ゴールへのラストスパートに妙な緊張感が混ざることになりました。
800m自由形に出場して750mでゴール?
これは、短水(25mプール)でのハプニングです。
高校に入って初めての水泳競技予選大会で、私は800m自由形に出場しました。
短水で800mを泳ごうとすると、25mを32回泳ぐことになります。
選手の数え間違いを防ぐため、800mや1500mなどの長距離では、最後の50mのターンのときに、各コースの真上で「カランカランッ」と、鐘(ハンドベル)を鳴らしてくれるシステムがあるのですが、その音が、隣のコースの音なのか、自分のコースの音なのかがわからないことがあるんですよね。
私はその日、隣のコースのラスト50mの鐘を、自分への鐘だと思い込み、はりきってラストスパートをかけてしまいました。
ゴール地点で顔を上げると、私の頭の上で、鐘の係の方が必死の形相で鐘を鳴らしていました。
私がラストスパートをかけたので、「やばい、この子まちがってる!」と気づいてくれたのでしょうね。
私が完全に止まってしまわないように、ちからいっぱい鐘を鳴らして知らせてくれていました。
おかげで、プールの底に足をつく前に気づいたので、そのままタッチターンをしてラスト50mを泳ぎきりました。
失格にもならず、予選も通過しましたが、先輩からはきっちり初げんこつをいただきましたよ。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、中学・高校時代のアマチュア水泳競技大会でのハプニングをご紹介しました。
これらを見ると、改めてトップスイマーたちの大会はスマートですよね。
オリンピックなど、世界レベルの水泳競技大会で、ゴーグルがはずれたり、フライングに気づかない選手はいないと思いますが、「スタート台、わりと高いな」とか、「ほんとだ、深そうだな」なんて思い出しながら、競泳観戦を楽しんでいただけると嬉しいです!
【データ】
◆競泳競技規則
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