水辺の物語3選

こは、架空老舗書店の晴天書房。私はお店番のあんずです。

6月も後半になりましたね。雨でジメジメしつつ、蒸し暑くもあって、夏がもうそこまでやってきているように感じます。

さて、今回は梅雨の季節にちなんで、水辺で読みたいをテーマに3作品ご紹介しましょう。

お店の常連さんに、おすすめの本を聞きました。

晴天書房の常連たち

水辺は川より海派 マロン
夏の水辺といえば海。砂浜でのんびりしたり、浮き輪であまり深くないところをプカプカ浮いてるのが楽しい~

やるせなきは男女の仲 YUMMY
男と女が出会って、恋に落ちる。水都お江戸の物語は、身分違いとか生さぬ仲とかやるせないのよね。そこが面白い!!

はじめての芥川賞作品 ひかりん
小説の上辺しか読み取れていない気がした。もっと深みを知れるようになりたい・・・。


人生の黄昏時に想う、
美しくも苦い初恋。

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【あらすじ】老人・ラインハルトは、エリーザベトとの初恋の思い出の中にいる。幼なじみとして育った二人だが、やがてラインハルトは進学のため故郷を離れることに。帰郷する度に思いを確かめ合うが、エリーザベトには別の求婚者が現れ・・・。切ない回想を描いた物語。

プレゼンテーター
水辺は川より海派 マロン
「初恋の苦い思い出」というありがちな内容ながら、すべての場面が抒情的で美しく、ヨーロッパの古い映画を観ているような気分になる物語です。

故郷を旅立つ前日、幼なじみのエリーザベトと森でイチゴを集める主人公のラインハルト。木洩れ日がエリーザベトの茶色い巻き毛と黄金の瞳をやさしく照らし、彼はその美しさを詩に讃えます。そして久しぶりに帰郷した日、エリーザベトの家を訪れると恋のライバルがプレゼントしたカナリアが。金の鳥かごに黄色い鳥という輝かしい色彩が、色あせていく初恋を際立たせ、物語の行く末を暗示させます。

さらに最後の場面。エリーザベトの住む農場の近くのみずうみで、暗い水面に寂しく漂う真っ白な睡蓮を見て、永遠に過ぎ去った青春を重ねる主人公。モノクローム映画が想像を掻き立てかえって鮮やかな記憶となるように、文字だけの世界が頭の中で豊かな映像に結びつきます。

物理的距離が離れてしまうと心も離れていっちゃうんですかね・・・。

大川端の旅籠が舞台、
人情捕物帳

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【あらすじ】江戸時代の末期、大川端の旅籠「かわせみ」の女将るいと、町奉行所与力の弟の神林東吾、その友人で八丁堀の定廻り同心の畝源三郎、かわせみの奉公人などが、市井で起こる事件を追っていく時代小説。幼馴染のるいと東吾の恋模様もからんで、江戸の庶民たちの人情噺が情緒豊かに描かれる。

プレゼンテーター:
やるせなきは男女の仲
 
YUMMY
NHKで人気だった連続ドラマの原作本。平岩弓枝さんの日本語の美しくたおやかなことにまずは驚かされる。「野暮をいう」「薹の立つ」「さんざっぱら」「藪から棒」などのクラシカルな言葉が、時代小説では想像力をかきたてられて断然面白い。

向島、深川、八丁堀、日本橋、品川浜と水路には渡し舟が行き交い、大江戸の物語は柳を映す水辺で綴られていく。この傑作選は、東吾とるいとの恋模様を軸に「初春の客」「江戸の子守唄」「美男の医者」「白萩屋敷の月」「源三郎祝言」「虫の音」「岸和田の姫」の7編が収められている。

「白萩屋敷の月」では訳ありの未亡人が初恋の人に焦がれるせつなさが描かれていて、哀れを感じてしみじみ胸に迫る。表紙や中の挿絵も「お宿かわせみ」の捕物帳に色気を添えている。ほんに江戸っ子は、小粋で洒脱だねぇ。

粋な表現の数々!面白そうです!

多感な時期を過ごす
少年の「生」への希望

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【あらすじ】父が脳溢血で倒れ、14歳の竜夫は父の旧友に金を借りに行く。そんな竜夫の唯一の楽しみは、螢の大群を想い人である英子と見に行くこと。ある日、父の容体が急変し、竜夫は病院へ駆けつけるがー。季節が移ろいゆく富山を舞台に、少年が螢の大群の中に見たものとは。

プレゼンテーター
はじめての芥川賞作品 ひかりん
事業に失敗して酒に溺れた父親の病死。これから先、母親と二人でどう生きていくかの選択。親友の事故死。主人公の竜夫は中学2年生で、思春期の少年が経験するにはあまりにも辛い出来事の数々。そして、英子に抱く淡い恋心など、精神的にも身体的にも不安定な時期を過ごす少年の心を緻密に描いている。

作中で「竜夫は父の匂いが嫌いだった。」「竜夫は確かに父を避けていた。老いて憔悴した父が嫌いだったのである。」と、父親に対する嫌悪感が如実に描かれているのが、思春期の少年の心情を表していて印象的だった。

物語のラストに螢を英子と見る場面は、暗いムードを忘れさせるほど情景描写が綺麗で実際に見ているようだった。螢の幻想的な光が身近な人の「死」を経験した少年にとって、生きることへの希望のように感じた。

初めての、芥川賞作品は率直に言えば「ん?」といった感じ。全体を通して表現がやはり文学的で、芥川賞作品のイメージそのものだった。

思春期特有の葛藤や、やるせなさってありますよね。

 

ご紹介した本まとめ

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いかがでしたか?今回はすべての作品に恋愛要素が入っていましたね。水を掬っても掬ってもこぼれていって留めておけない感じが、どこか恋愛と似ているような?ぜひ読んでみてくださいね♪