お寺でキュンキュン?仁和寺で見つけた「かわいい!」を3つご紹介

仁和寺

遅咲きの「御室桜(おむろざくら)」で有名な、京都の仁和寺。

宇多天皇にはじまり、天皇家ゆかりの人物が住職を務めた「門跡寺院」です。

雅やかなイメージの仁和寺ですが、実は「かわいい!」ものがたくさんあるんですよ。

今回は、それらの中から3つの「かわいい!」をご紹介します!

恐れ多くもご本尊がかわいい!

如来像イラスト

お寺のご本尊に対してかわいいとは何ごとか!と、叱られてしまいそうですが。

何度拝見しても、やっぱり「かわいい」ので、ご紹介させていただきます。

ふっくらほっぺに癒される

創建(888年)当時、金堂に安置されていた阿弥陀如来坐像。

ふっくらとした頬、ぷくっとやわらかそうな唇、少し切れ長の目が幼い子どものようで、思わず微笑んでしまいます。

脇侍の観音菩薩、勢至菩薩も似たお姿で、なんともかわいらしい阿弥陀三尊像です。

仁和寺は、応仁の乱(1467年)ですべての建物が焼けてしまい、その後約170年ものあいだ、荒れ野となりました。

それらの戦禍をのがれ、今もその穏やかなお姿で現代人に安らぎをもたらしてくれるのは、本当にありがたいですね。

阿弥陀三尊像は、現在、仁和寺の霊宝館に安置されています。

春・秋の名宝展でお会いできるので、機会があれば、ぜひ足をはこんでくださいね。

◆2021年度『霊宝館 春季名宝展』
期 間:3月20日(土)~5月9日(日)
時 間:9~17時(16時30分受付終了)
休館日:毎週月曜日(5月3日は開館)
料 金:大人500円(高校生以下無料)
※ 2021年4月現在

四天王像もむっちりキュート

創建当時の金堂には、阿弥陀三尊像のほか、その四方を護る四天王像も安置されていました。

そのうちの2体と思われる増長天、多聞天が、阿弥陀三尊像と共に霊宝館に安置されています。

そして、そのお姿がまた、ずんぐりとしてかわいいのです!

頭部が大きめに作られているので、5~6頭身くらいでしょうか。

像高が約110㎝というところも、小さな子どもを思わせて、心が和むのかもしれませんね。

増長天、多聞天に踏まれている鬼まで、ころっとしていて、かわいく見えてしまいました。

御殿のディテールがかわいい!

仁和寺の御殿とは、門跡の「生活空間」のこと。
※ 皇族・公家が住職を務める特定の寺院、あるいはその住職

御座所(天皇・貴人の居室)といわれる宸殿や、応接間となる黒書院などがあります。

ここでは、御殿で見つけた、かわいい建築装飾をご紹介します。

装飾金具にハートマーク?

仁和寺建築金具Photo by kii watanabe

拝観料を払って御殿に入ると、宸殿、書院、霊明殿、庭園などを見ることができます。

宸殿の廊下にある建具などには、おしゃれな装飾金具がほどこされているんですよ。

模様は「葉」でしょうか。ハートマークに見えて、かわいいです。

仁和寺建築金具Photo by kii watanabe

庭園におりる階段の手すりも、まっすぐではなく、ゆるっとカーブしているのがいいですよね。

仁和寺建築Photo by kii watanabe

ここにもハートが。

仁和寺建築金具Photo by kii watanabe

この宸殿は、1914年、京都府技師の亀岡末吉氏によって設計されました。

亀岡氏は、「亀岡式」という独特な意匠で知られている建築家です。

らんまなどの彫刻もかわいいです。

仁和寺建築彫刻Photo by kii watanabe

仁和寺建築彫刻Photo by kii watanabe

それでは、亀岡式の彫刻がさらによく分かる建築物をご紹介します。

アール・ヌーボーな勅使門

仁和寺勅使門イメージ【写真AC】

勅使とは勅旨を伝えるために天皇が派遣する使者のこと。

勅使門は、その勅使が出入りする門のことです。

天皇のお使いなので、格式の高い四脚門なんですね。
※2本の本柱の前後に2本ずつ計4本の柱がある。社寺や身分の高い人の家に用いられた

仁和寺の勅使門には、柱、扉、らんまにいたるまで細かい彫刻がほどこされ、特に扉の透かし窓の技法には目を奪われます。

19世紀にヨーロッパで流行したアール・ヌーボーを彷彿とさせるこの建築様式を、「かわいい」とまとめてしまってよいのか、とまどいもありますが。

レースのような透かし窓の彫刻は、やはり「かわいい」のです!

ちなみに、この勅使門は、御殿の内側から見るとかなり遠いので、外側から見ることをおすすめします。

つまり、勅使門だけ見たい方は、拝観料を払って御殿に入らなくてもよい、ということですね。

ただし、御殿には「かわいい」もの以外にも見どころがたくさんあります。

例えば、御殿の廊下は、映画『陰陽師』の撮影にも使われたんですよ。

仁和寺に行かれた際には、ぜひ御殿の建築や美術、庭園を楽しんでくださいね。

◆仁和寺 御殿
拝観料(個人)
大 人・高校生:500円
中学性・小学生:300円
※ 2021年4月現在

プチお遍路のお堂がかわいい!

仁和寺のすぐ北側にある成就山(じょうじゅさん)。

ここには、2時間ほど(約3㎞)で四国巡礼を体験できる、プチお遍路コースがあるんですよ。

八十八ヶ所のお堂がまた、小さくてかわいいのです!

お遍路体験でミニお堂めぐり

1827年、第29世門跡済仁法親王は、四国巡礼が困難な人々のため、久富遠江守文連(ひさとみとおとうみのかみふみつら)に命じて、四国八十八ヶ所の霊場の土砂を持ち帰らせました。

その土砂を、四国八十八ヶ所の順番通り成就山に埋め、それぞれの上に小さなお堂を建立。

1829年、盛大な法要が行なわれ「御室八十八ヶ所霊場」が完成したのです。

約3㎞の中に八十八ヶ所のお堂が点々とあるので、どのお堂もミニサイズ(約2~4畳)。

巡礼中、次のお堂が見えるたびに、「わぁ、かわいい……!」と、うれしくなりました。

小さくてもありがたいご本尊

お堂の中には、各霊場のご本尊と弘法大師坐像が並んで安置されています。

当たり前ですが、お堂が小さいので、ご本尊も弘法大師坐像も小さいんですよね。

どのお像も、80㎝くらいではないでしょうか。

手を合せながら、ちょっとくすぐったい気持ちになります。

ただし、それぞれのお堂の前には真言も記され、真面目に巡礼されている方もたくさんおられます。

小さなお堂やご本尊の姿にキュンキュンしながらも、きちんと作法どおりにお参りさせていただきました。

ちなみに、結願の第八十八番札所「大窪寺」では、弘法大師の等身大の立像が、私たちを迎えてくれるのですが。

めちゃくちゃ大きく感じました(笑)

まとめ

いかがでしたか?

今回は、仁和寺で見つけた「かわいい!」を3つご紹介しました。

勅使門やお遍路体験など、こちらで十分にご紹介できなかった部分については、分かりやすく説明されているサイト様を下記の【データ】にてご紹介しております。

「アール・ヌーボーな勅使門、気になる!」「プチお遍路をくわしく知りたい!」という方は、ぜひ、そちらでご確認ください。

阿弥陀如来三尊像に会いに行かれる方は、霊宝館の特別公開スケジュールのチェックをお忘れなく!

皆さんが仁和寺を訪れたとき、1つでも多くの「かわいい!」に出合えますように。

【データ】
仁和寺 勅使門は美しい
全寺紹介!2時間でできる御室八十八ヶ所霊場めぐり

【出典】
真言宗御室派総本山仁和寺
御室88ヶ所霊場
春季名宝展 霊宝館
◆『新版古寺巡礼京都22 仁和寺』

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