簡単!お金をかけない美容法 3
かしこい「クレンジング選び」

◆第三回「クレンジング選びの難しさ」◆

お金をかけず、今日から始められる、しかも初期費用0円の美容法、ぜひ、試してみてください。

 

そもそも、なぜクレンジングが必要か

さて、第三回はクレンジングについてです。「クレンジング」は文字通り、汚れたものを浄化するという意味です。では、肌を汚しているもの、クレンジングを使わないといけない状況をつくっているのはなんでしょう。それは、毎日のメイクアップです。メイクをしない人、していない日は、もちろん、クレンジングを使う必要はありません。

第二回の洗顔の回でも書きましたが、洗顔は最も肌あれリスクの高いスキンケアです。そして、今回のクレンジングは「脱脂」という点では、洗顔以上にハイリスクなスキンケアであることを、よく覚えておいてほしいのです。それは、メイクアップに含まれる成分に関係があります。

肌の美しさを重視する日本人女性が大好きなファンデーション。ポイントメイク(リップ、アイカラー、アイブローなど)をあまり使わない人でも、ファンデーションを使っている人は多いでしょう。最近では洗顔剤だけで落とせる軽いファンデーションも増えましたが、やはりカバー力や素肌の演出力では、まだまだクレンジングが必要なファンデーションに軍配があがります。多くのメイクアップ商品は「油性成分」が配合されています。なぜ、油性成分が含まれるのか。それは、メイクアップを肌に長い時間定着させ、長持ちさせるためです。この油性成分が含まれているため、同じく「油性」であるクレンジングが必要となります。

 

クレンジングが、油性の汚れを取る仕組み

クレンジングは、主に油溶性の汚れを取るもの。ついでに言うと、洗顔料は、主に水溶性の汚れを取るために存在しています。クレンジングが洗顔料よりも「脱脂」に関してリスクが高いという理由は、油溶性の汚れを肌からきれいに取り去るときのメカニズムにあります。

メイクアップには「色」である顔料などの他に、化粧もちをよくする油性成分が配合されています。これらはメイクアップを肌にしっかりと密着させるための成分なので、汗やほこりなどの水溶性の汚れを想定してつくられた洗顔料だけでは、すばやく取り去ることができません。クレンジングには、このメイクアップに使われる油性成分と同じ系統の油性成分や界面活性剤(乳化剤のこと。水と油をなじませるもの)が配合されています。メイクの油性成分を、それに近い油性成分でなじませ、肌から浮き上がらせるのがクレンジングの役目です。そして、浮き上がった汚れは、ぬるま湯で洗い流します。

 

 

クレンジングは、「自分のメイク」で選ぶ

自分の肌の状態にあっているクレンジングを使い、メイクと一緒に取り去ってしまった必要な皮脂を、クレンジングの後できちんと補えていれば、特に肌があれることも乾燥することもないでしょう。しかし、多くの人は、自分のメイクに対して、かなり強いクレンジングを使っているのではないでしょうか。真っ赤なリップやしっかりと引いたアイライナーなどのポイントメイクには、短時間でしっかりとメイクを取り去るクレンジングを使う必要はありますが、顔全体(いわゆるベースメイク)には、よほどのことがないかぎり、ポイントメイク級の強いクレンジングは必要ありません。
自分のメイクの濃さにあったクレンジングを選ぶことが、保湿ケアの前にまず、やるべきことです。薄いメイクなのに、ポイントメイクを落とす級のクレンジングを使っていると、保湿のスキンケアをいくら頑張っても追いつきません。

理想のクレンジングは、メイクだけをきれいに落とし、必要な皮脂をきちんと残してくれます。また、洗顔同様、クレンジングでも摩擦は大敵です。肌になじませて、メイクの汚れがすぐに浮き上がる(時間がかからない)ものを選びましょう。

オイルの種類をチェックする

サッと肌になじみやすいという点では、オイルのクレンジングが有利ですが、よく落ちるという点では「ミネラルオイル」(鉱物油)を使ったクレンジングには少し注意が必要です。ミネラルオイルは、脱脂力が強いので軽いファンデーションやナチュラルメイクには、正直、必要ありません。あまり濃いメイクでないならアルガン油やコメヌカ油などと書かれた「油脂系オイル」で充分です。動植物由来の油なので、人間の皮脂と相性がよく、ミネラルオイルに比べて脱脂力が弱いのが魅力です。「オイルは取れ過ぎる」という人は、自分が使っているオイルの種類とメイクの濃さが合っているかを一度、確認してみてください。

軽いメイクならミルクタイプで

また、乳液タイプ、クリームタイプのクレンジングは、ポイントメイクもほとんどしない、軽いベースメイクの人におすすめです。やわらかい質感で手軽なジェルタイプは、あまり油が含まれていないことから、素早くメイクを落とすという点では期待できないようです。

洗顔料も肌へのやさしさで選ぶ

洗顔料に関しては、肌を守る天然のクリームである皮脂膜と同じ「弱酸性」のものが、肌には優しいといえます。なんとなく肌にいいイメージの石けんは「アルカリ性」。洗浄力が強いので乾燥肌や敏感肌、年齢を重ねた肌には不向きといえます。特にクレンジングの後にダブル洗顔をするのであれば、よりマイルドなアミノ酸系が無難でしょう。ちなみに、ダブル洗顔は必ずしも必要ではありません。クレンジングでメイクと顔全体のベタ付き感が落ちているようなら、さらに皮脂を取る洗顔料を使うのは考えものです。自分の肌をさわって、良く見て、試して、様子をみながら、自分の肌に最適な「落とすスキンケア」を構築しましょう。

 

なぜ、肌にとって摩擦がダメなのか

さて、洗顔とクレンジングの話でも出てきた「摩擦が肌によくない」ということ。なんとなく美容の常識のように「肌をこすってはダメ!」と思っていると思いますが、その理由はなんでしょう。
ひとつは、まだ必要な「角質」を肌からはがしてしまうからです。そして、もうひとつは、肌をこするという物理的な刺激が、肌の黒ずみやシミの原因となるからです。角質は肌の一番上にある0.02mmの極薄の層です。とても薄い層ですが、肌の保湿に深く関わる大切な部分です。無理にとれば、肌の乾燥につながります。「乾燥」「シミ」という、女性が気にする二大肌トラブルが、日々の「肌の摩擦」と無関係ではないことを知っておくだけでも、リスクの回避になります。

クレンジングにおける摩擦を防ぐ、最大のポイントは「クレンジングの使用量」です。
使用量を守って、なるべく肌をこすらないように、短時間でメイクとクレンジング剤をなじませましょう。「メイクを取る」というよりは、「メイクとクレンジングをすばやくなじませる」という意識で行う方が、使う量や力の入れ方も変わってきます。まず、自分のメイクと使っているクレンジングの強さが合っているかを確認し、自分の皮脂を摂り過ぎないクレンジングをめざしましょう。また、「摩擦」に気をつけるためにも、クレンジングの使用量と力の入れ加減にも気をつけてみましょう。
このポイントを守るだけで、翌朝の肌の調子が変わってきます。

 

◆次回の第四回からは、保湿のスキンケアについてです。まずは「化粧水」に関することから。肌の保湿と深い関わりのある「角質」についても説明できれば、と思います。「補う美容」=保湿はとくに乾燥肌、年齢を重ねて肌には重要です。自分にあった保湿ケアで肌の輝きを底上げしていきましょう。