皆さんは焚き火にどんなイメージを持っていますか?なんとなく、「寒い時期に暖をとるもの」と思っている方も多いのではないでしょうか。
焚き火の目的は、暖をとるためだけではありません。むしろ、それ以外の楽しみ方のほうがたくさんあるのです!
「じゃあ何を楽しむの?」「そもそも、みんなどこでどうやって焚き火してるの?」なんて思われる方のために、焚き火の楽しみ方や手順などについて、わかりやすくご説明します!
すべてを読み終わるころ、あなたはすでに焚き火沼にハマっているかもしれません。ココロの準備はいいですか?
それでは、いざ、焚き火ワールドへ!
目次
焚き火の魅力とは
イメージ【写真AC】
古来、日本ではいろりを囲んで団らんする習慣がありました。焚き火を囲むとなんだかココロが落ち着くのは、火のやさしさ、ありがたさを、私たちのDNAが覚えているからかもしれませんね。
焚き火が何に使えるか、ということより、まずは、焚き火の魅力について3つご紹介します。
タキビスト魂に火をつけるメタルマッチ
焚き火をはじめるには、まず「火」が必要ですよね。
着火剤とライターがあれば、簡単に火はつきますが、自分で火を生み出すおもしろさを感じられるのは、やはり現代の火打ち石「メタルマッチ」です。
詳しいやり方は、後ほどご説明しますが、火花を枯れ葉などに移して炎に育てるこの過程は、タキビストにとっては一大イベント!
うまく火がついて、キレイな炎に育ってくれたときには、まるで自分が火の魔術師になったかのような優越感にひたれるのです。
おき火に見る神秘的な世界
みなさんは、「おき火」を知っていますか?
焚き火が終盤になると、燃えていた薪などの燃料は、炎や煙のない「おき火」に変わります。
おき火は鮮やかなオレンジ色で、マグマを思わせるそのゆらめきは、とても神秘的。目の前にありながら、まるで別世界のその光景は、ずっと見ていても飽きることがありません。
おき火は、焚き火の終わりを告げる姿でもあるので、おき火を見ると「あぁ、もう終わるんだな…」と、毎回切なくなりますが、それがまた、次の焚き火への思いにつながるのです。
焚き火の一生を見守る充実感
火が生まれて消えるまで、すべて自分でコントロールして見届けられるのも、焚き火の魅力のひとつです。
メタルマッチから火を生み出して炎に育て、最後は、おき火のあたたかさが失われるまでその姿を見守ります。
燃え残りの炭を出さず、すべてキレイに灰にして終われるかどうかは腕の見せどころ。
生み出した火がどんな一生を送るのかは、まさにタキビスト次第なのです。
焚き火の全容を解説!
「少し焚き火に興味はわいてきたけれど、どこでどうやってはじめればいいの?」
そんな方のために、焚き火の基本について、ざっくりとご紹介します!
焚き火ができる場所とは
焚き火はバーベキューとは違って、できる場所が限られています。安心して焚き火を楽しめる場所は、なんといってもキャンプ場ですね。
河原などで焚き火をする場合、消防署への届け出が必要ですが、届け出を出したからといって消防署が焚き火を「許可」したということにはなりません。
焚き火の薪を「燃料」とするか「廃棄物」とするかは自治体によって変わり、廃棄物と判断する自治体では、法律により焼却が禁止※1されています。
※1 出典:「日本焚き火学会/焚火と法律」
煙などが出て119番通報されると、届け出を出していても消防車は来ちゃうので、もうおとなしくキャンプ場へ行くのがおすすめです。
焚き火にはどんなスタイルがあるの?
キャンプ場で一番多く見られるのは、「焚き火台」を使った焚き火スタイルです。簡単に移動できるので、急な雨や、テント付近の混雑具合などにも、すぐに対応することができます。
焚き火台を使わず、地面に直接薪を置く「直火」スタイルは、石でかまどを作ったり、本格的な薪組みを試すなど、野営のようなワイルド感が楽しめます。
ただし、直火スタイルは芝などを傷めるため、直火禁止のキャンプ場が多くなっています。直火で焚き火をしたい方は、予約時にホームページなどで確認しておきましょう。
どちらのタイプの焚き火でも、最後の火の始末はしっかりと行います。燃え残った炭は土には返りません。キャンプ場の炭捨て場に捨てるか、火消しツボなどを持参して持ち帰るようにしましょう。
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どうする?雨の日、風の日の焚き火
焚き火好きなら、雨が降っても、風が吹いても焚き火がしたい!というのが心情です。
雨が降っているだけなら、火の粉がついても燃え広がりにくい「難燃性」のコットンタープなどを使えば、焚き火は可能です。
雨の日の焚き火もまた、風情があっていいものですよ。
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風のある日は少し注意が必要ですが、焚き火用の幕などで風よけを作ることで、焚き火をすることができます。
火の粉が飛んで穴をあけないように、自分や周りのテントからは十分に距離をとっておきましょう。
自分たちも、穴があいてもいい上着や、難燃性のマントなどをはおっておくと安心ですね。
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ただし、風が強いときは、焚き火をあきらめるのが得策です。周りのテントに火の粉が飛んだり、芝に燃え広がったりすると、大きな代償を払うことになりかねません。
ハラハラしながら火をつけるより、次回の焚き火を楽しみに、薪はとっておきましょう!
薪の種類と使い方
焚き火をするには、薪などの燃料が必要です。入手の方法はさまざまですが、キャンプ場やホームセンター、インターネットなどでも購入することができます。
それでは、薪の種類や使い方について見ていきましょう。
薪の種類は2種類ですが…
薪には広葉樹と針葉樹の2種類があります。
◆広葉樹
長時間じっくり燃える。火の粉が少ない。密度が高く硬いので薪割りがちょっと大変。
◆針葉樹
着火性が高くハイペースで燃える。火の粉や煙が出やすい。薪割りしやすい。
価格は、どちらも一束20~30本ほどで、500~800円が相場です。燃やせる時間としては、選ぶ薪や、薪の組み方にもよりますが、一束で2時間程度が目安でしょう。
ちょっと気をつけたいのは、売り場によって、「廃材では…?」と思うような薪を販売していることです。問題なく燃える(むしろ燃えやすい)のですが、焚き火の見た目としては、趣きに欠けてしまいます。
「焚き火は見た目が大切!」と思われる方は、事前にお気に入りの薪をインターネットなどで購入して持参すると安心ですね。
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拾った枝はこうして使う!
キャンプ場によっては、場内に落ちている枝を拾って焚き火に使えることがあります。
その場合は、できるだけ乾いている枝を選ぶようにしましょう。折った時にパキッと音がするのが、乾いている証拠です。
また、燃えやすいのは内側の木質部なので、厚い樹皮があると、なかなか着火しないことがあります。
白樺や杉など、樹皮が燃えやすいもの以外は、樹皮をはがしておくと燃えやすくなりますよ。
焚き火台での薪の組み方は?
野営などで直火の焚き火をする場合、調理に特化した薪組みや、長時間の燃焼を重視した薪組みなどがあります。
一方、焚き火台の上ではそのような複雑な薪組みは必要なく、炎の加減を見ながら、思うようにくべていくのが楽しいのではないでしょうか。
ただし、薪は小さい(細い)ものから順番にくべていくこと、空気の通り道をふさいでしまわないこと、などには注意しましょう。
ちなみに、三角すいに薪を組む「ティピー型」は炎のかたちが美しく、薪を川の字のように水平に並べる「ロングファイヤー型」は長時間の燃焼に向いています。
この2つの薪組みは、使う焚き火台によっては可能ですので、試してみるのもおもしろそうですね。
ティピー型に向いている焚き火台
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ロングファイヤー型に向いている焚き火台
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焚き火の材料と手順
さて、そろそろ「肝心の焚き火のやり方を早く教えて!」と思われる方もいるのではないでしょうか。
この章では、焚き火の具体的な材料と手順について、お伝えしたいと思います。
焚き火は、いきなり薪に火をつけてはじめられるものではありません。
火だねを炎に変え、徐々に炎を大きくするという手順が必要で、焚き火を持続させるには
「燃料」・「酸素」・「熱」
の3つが不可欠です。
これを「ファイヤートライアングル」といいますが、この中のどれが欠けても、火はすぐに消えてしまいます。
焚き火の序盤でうまくいかないときは、この中の「熱」が足りていないことが多いので、そのあたりも踏まえて、焚き火の手順をご説明しますね。
焚き火に必要な材料
焚き火の主な材料としては、以下の4つがあげられます。
【火だね】
火をおこす種となる火。
マッチ・ライターの火、メタルマッチの火花など。
【火口(ほくち)】
火だねによって発生した火花を移し、小さな炎にするもの。
枯れ草、杉などの樹皮、松ぼっくりなど。
【焚付け(たきつけ)】
火口の炎をさらに大きく育てるもの。
小枝、細く裂いた木など。
【燃料】
薪や枝など、焚き火用にカットされた木材。
慣れないうちは、火口から焚付けに移る過程で火が消えてしまうことが多いようです。何度かやり直せるように、火口と焚付けを十分に用意してからはじめると安心ですね。
(どうしても火がつかない時のために、マッチや市販の着火剤をコッソリ用意しておくとさらに安心…かも?)
焚き火の手順
焚き火の材料が用意できたら、早速、着火してみましょう!
まずは「火だね」を用意しますが、ライターなどを使うとすぐに着火できちゃうので、冒頭でお伝えした「メタルマッチ」での着火をご紹介します!
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メタルマッチを簡単にご説明すると、マグネシウムの棒を金具でこすって火花を作る道具です。濡れても拭けば使えるので、アウトドアにはぴったりですね。
それでは、着火してみましょう!
《手順1》 →ここは余裕♪
まずは火口を焚き火台などの上にスタンバイ。はじめは火口として売っている麻などを使うと簡単ですね。
《手順2》 →ちょっと集中
火は下から上に移るので、火口の上に焚付けとなる小枝などを軽くセット。今から火口に着火するので、火口の真上はあけておきましょう。
《手順3》 →一番おもしろいところ!
メタルマッチのマグネシウム部分を金具でこすり、火口の上にパラパラとマグネシウムをまきます。メタルマッチの先で火口を軽くおさえるようにしてメタルマッチを金具でこすり、その火花を火口に移します。コツさえ掴めば、ゆっくりとしたコンパクトな動きでも火花は出ますよ!
《手順4》 →ここが頑張りどころ!!
火花が火口に移り、一瞬にして炎が上がります。ただし、すぐに焚付けに火を移さないと、火口だけが燃えて火は消えてしまいます。ここで火が消える原因はおそらく「熱」の不足です。酸素が必要だと思って風を送ってしまうと、せっかくの熱がどんどん逃げてしまいます。この段階では、酸素より「熱」の温度をあげることを意識していきましょう。
☆火を消してしまった方は、《手順1》から再スタートです!がんばれ~!
《手順5》 →安心するのはまだ早い
ここで火を保てた方は、とりあえずひと安心ですね。でも実は、次の段階にも落とし穴があるのです。いきなり大きな薪をガシガシ置いてしまうと、今度は「酸素」がなくなり、火が消えてしまうことも。この段階では酸素の通り道を考えながら、細い薪から順にくべるようにしましょう。
《手順6》 →炭を処理するまでが焚き火です
無事に着火し、焚き火を楽しんだあとは、火が完全に消えるのを確認します。燃え残った炭は、炭捨て場に捨てるか、火消しツボで持ち帰りましょう。炭は消えたように見えて、内部がまだ燃えていることがあるので、宿泊キャンプの場合は火消しツボに入れておいて、翌朝捨てるのがいいかもしれませんね。
【☆POINT 1☆】 焚き火台に水をかけて火を消すのはタブーです!急激な温度変化で焚き火台が傷むだけで、炭の内部の火は、水では完全に消えません。
【☆POINT 2☆】 焚き火の終盤、おき火になった時点で燃焼効率のよい「ネイチャーストーブ」などに移せば、素早く燃えてすべてきれいに灰になりますよ。
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人気の焚き火台、焚き火ツール
焚き火の流れはひととおりご理解いただけましたか?メタルマッチでの着火のあたりから、好奇心旺盛な方は、うずうずしているのではないでしょうか。
火口を前に、メタルマッチを握りしめている自分が想像できたら、あなたはもう、焚き火の沼に片足を突っ込んじゃってますよ!
ここでは、もう片方の足も突っ込んでいただくために、人気の焚き火台や、便利な焚き火ツール、その他、本文中に登場した焚き火アイテムなどをご紹介します!
人気の焚き火台
焚き火台でありながら直火のような薪組みが可能。ダッチオーブンなどの重たい調理器具も使えます! |
人気のかまどタイプは焚き火の調理に最適!アミをよけなくても、薪は横からどんどんくべられるので、とても便利です。 |
コンパクトな1人用のミニ焚き火台。自分のペースでじっくり焼き物を楽しめて、最後は後かたづけもラクラクです! キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) バーベキューコンロ 焚火台 1台3役 折りたたみ カマド スマートグリル B6型 バッグ付 3段階調節可能 UG-43 |
キャンプコミック『ゆるキャン△』とのコラボでおなじみのミニ焚き火台。別売りのアミを乗せて1人焼き肉もできます!横のフタをあけて小さな薪を投入するのがめっちゃカワイイ…! |
ミニ焚き火台B-6君の専用アミ。これがあれば1人BBQも焼き鳥も…無敵です! |
便利な焚き火ツール
焚き火のお世話に使う火ばさみ。持ち手にグリップがついてるので、大きな薪をつかむときでもすべりにくい! |
焚き火のうえからお鍋やケトルをつり下げます。高さをかえて火力調整ができるので、あらゆる調理で大活躍まちがいなし! キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) コンロ グリル 焚火台 焚火三脚 収納バッグ付き CSブラックラベル UG-9 |
つり下げ式のケトル。焚き火の上に吊しておくことで、いつでもお湯が使えてとても便利です!注ぎ口にフタがついているので灰などが入らないのもうれしいですね。 |
その他の焚き火アイテム
焚き火用の手袋。火ばさみではつかみにくい大きな薪も、これがあれば直接つかんでくべられます。短い火ばさみを使う方は手が熱くなるので必需品ですよ~! キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) アウトドア キャンプ BBQ ソフト レザーグローブ 手袋 牛革 イエロー Lサイズ UM-1912 |
本文中に登場した火口となる麻紐。当日、よい火口が見つからなかった時や、うまく着火できずに火口がなくなった時のため、常備していると安心ですね。 |
難しい料理をしなくても、串にウインナーやベーコン、チーズ、マシュマロなどをさしてあぶるだけで楽しい! |
焚き火台に関しては、本格的なものから、かわいいミニ焚き火台までいろいろあって、迷われたのではないでしょうか?
大丈夫、心配は無用です!タキビストになれば、おそらく焚き火台は一台ではすみませんから(笑)
「まずは一つ目…」ということで、やってみたい焚き火のスタイルや予算などに合わせて、気楽に選んでみましょう!
まとめ
いかがでしたか?
焚き火は災害時、熱源や灯りとなり、人々の心のよりどころになったといわれています。
その一方で、消防が機能していない被災地で、町を焼いてしまったという悲しい事実も※2。
※2 出典:岩見達也/(独)建築研究所「東日本大震災における火災の発生状況」
焚き火は、楽しい面と危ない面の両方を熟知してこそ、安全に楽しめるのではないでしょうか。
大好きな焚き火が「ワルモノ」になってしまわないよう、炎の行方に十分に配慮しながら、末永~く焚き火を楽しんでいきましょう!
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【出典】
・志津川小学校避難所自治会記録保存プロジェクト実行委員会/明石書店『南三陸発!志津川小学校避難所』
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