仏師の本気度がすごい!15年かけて作った日光東照宮の超精巧模型

日光東照宮陽明門模型

飛騨高山にある高山祭屋台会館をご存知ですか?

そこに隣接する「桜山日光館」では、めちゃくちゃ精巧な「模型」が見られるんですよ!

何の模型かというと、徳川家康公をお祀りする「日光東照宮」です。

残念、興味ないわ~、という方、ちょっと待ってください!

わたしも興味がなかったんです、家康公にも、東照宮にも(失礼な)。

でも、すごいんです、ただの「ミニチュア」じゃないんです!

作ったのは、大正時代の仏師を中心とした33人の技術者たち。

今回は、彼らが15年かけて本気で「建てた」、日光東照宮の超精巧模型をご紹介します。

実物の日光東照宮に負けない彫刻や極彩色を、1/10のスケールでお楽しみください!

細かい彫刻も再現!「唐門」と「透壁」

日光東照宮唐門模型

色彩を多く使わず、厳かな雰囲気の「唐門」

まずは、御本社(本殿)の前にある唐門(からもん)をご紹介します。

唐門にほどこされた彫刻は、なんと611か所。

中国の神話などを表現しているため、人物が多いのが特徴です。

日光東照宮唐門模型

白い彫刻が、崇高で美しいですね。

日光東照宮では、胡粉(ごふん、貝殻から作った白い顔料)が使われていますが、こちらも、同じものが使われているのでしょうか?

仏師長谷川喜十郎がこだわりぬいた建築材料

模型づくりの中心となった仏師、長谷川喜十郎は、34才のころ、「日光社寺大修繕事務所嘱託」に選任されています。
※ 政府、二荒山神社、東照宮、輪王寺によって構成された社寺の修理を行なう組織

この模型は、そのときに引き起こした日光東照宮の絵図面を元にして作られ、部品の総数は50万個ともいわれているんですよ。

絵図面があるなら、設計としては日光東照宮とほぼ同じものであることは間違いなさそうですね。

しかも、部品が50万個ということは、柱や彫刻、装飾のすべてが個々に作られ、ホンモノさながらに組み立てられということでしょうか。

そこまでこだわって作られているなら、この白い塗装も、胡粉を使ってるかもしれませんね。

喜十郎は、材料へのこだわりも強く、みずから山へ入って、模型に使う原木を選んだそうですよ。

もはやこれは、模型ではなく「神社」ですよね。

人が入れない大きさ、というだけで、もう神社を建てたのと同じことだと思います。

「シルバニアファミリー持っていって遊びたい」なんていったら、バチがあたりそうですね……(遊びたい)。

実物に負けない建築美術「透塀」

唐門から左右にのびる透塀(すきべい)の装飾も見ごたえたっぷりです。
※ 板を透かして張った見通しのきく塀

日光東照宮唐門模型

特殊な格子の中にある、装飾もちゃんと再現されていますね。

日光東照宮唐門模型

装飾の色合いも上品です。

次にいくときは、近距離でも使える双眼鏡、もしくは、望遠レンズが使えるカメラを持っていこうと思いました。

細かいところを、じっくり見たい!

日本一美しい門「陽明門」

日光東照宮陽明門模型

霊獣などの彫刻がぎっしり

陽明門は、その彫刻や装飾の多さから、一日見ていても飽きない「ひぐらし門」とも呼ばれています。

日光東照宮陽明門模型

日光東照宮の写真と比べても遜色ない、というか、細かい分、こちらのほうが職人の技を感じます。

日光東照宮にある「東照大権現」の扁額は、後水尾天皇の御宸筆によるものだそうですが、日光東照宮は修繕を繰り返しているため、大正時代に作られたこの模型とは、少し色が違っています。

日光東照宮陽明門模型

「逆さ柱」の術もちゃんと再現

こちらは、陽明門の反対側。

日光東照宮陽明門模型

日光東照宮の陽明門では、向かって右から2本目の柱だけ、逆に立てられているんです。

これは、「完成したあとは崩壊へ向かうのみ」といわれていることをうけて、あえて「未完」になるように、逆さまにしているそうですよ。

もちろん、この模型でも、右から2本目の柱が、「逆さ柱」になっています。

そんなところまで再現できるのは、やはり、実際に日光東照宮の修繕に携わった仏師、長谷川喜十郎がいたからなのでしょうか。

「マネて作っただけのおもちゃじゃない!」という職人魂が伝わりますね。

陽明門からのびる国宝の廻廊

陽明門から左右にのびる廻廊も、陽明門や唐門と同じく「国宝」に指定されています。
※ 実物の日光東照宮の陽明門、唐門、廻廊

日光東照宮陽明門廻廊模型

一枚板の透かし彫りに極彩色、という作りですが、模型でもそれが再現されていますね。

日光東照宮陽明門廻廊模型

ところで、大正時代に拡大鏡なんてあったのでしょうか。

職人さんたちの目が心配になってきました。

門以外にも見とれてしまう建物がいっぱい!

唐門、陽明門以外にも、近くでまじまじと見てしまう社殿がたくさんありました。

薬師如来像をお祀りする本地堂

日光東照宮本地堂模型

日光東照宮の本地堂(ほんちどう)は、昭和36年に火災により焼失しているので、こちらも現在のものとは少し違います。

それしても、装飾が細かい!

これ、ぶら下がっている「ふさ」も、ちゃんとふさふさしてますよね、きっと。

日光東照宮本地堂模型

なんとなく、「職人さんたち、わりと楽しんでたんじゃないかな」と、思えてきました。

日光東照宮本地堂模型

日光東照宮本地堂模型

唐門の後ろの拝殿と御本社

日光東照宮本殿模型

御本社の一部を後ろから撮影。

日光東照宮本殿模型

さらに、アップ!

日光東照宮本殿模型

もう、明らかに、うちのマンションより建築物として価値があると思うんですよね。

作っているところの映像、めっちゃ見たいけど、大正時代ではちょっと残ってないか……、残念。

原寸大の眠り猫

日光東照宮眠り猫模型

こちらは、1/10の模型ではなく、日光東照宮にある「眠り猫」と同じ大きさの彫刻です。

日光東照宮の眠り猫は、以前は「うす目」を開けていたそうですが、平成の大修理の際、目は閉じられてしまいました。

こちらの眠り猫の目は、どちらでしょうか。

閉じてる?うっすら開いているようにも見えますね。

気になる方は、ぜひ、桜山日光館へ、確かめに行ってみてください。

わたしも、カメラと望遠レンズを持って、また行きたいです!

まとめ

いかがでしたか?

今回は、岐阜県高山市にある「桜山日光館」の日光東照宮超精巧模型についてご紹介しました。

徳川家康公にも、日光東照宮にも興味はありませんでしたが、模型の精巧さに、もうクギづけになりましたよ。

そして、実際の日光東照宮へ行って、この模型と、細かく比べてみたくなりました!

33人の技術者たちに対しても、はじめは「15年も大変だっただろうな」と思いましたが、だんだんと「15年もこんなこと続けられるなんてうらやましい!」と感じるようになりました。

桜山日光館は、高山祭屋台会館の入場料を払えば、無料で入館できるできるので、飛騨高山へ行かれた際には、ぜひ、高山祭屋台会館、桜山日光館へ立ち寄ってみてくださいね。

双眼鏡、または望遠付きカメラをお忘れなく!

【データ】

《高山祭屋台会館》
http://www.hidahachimangu.jp/yataikaikan/welcome.html
・住所
岐阜県高山市桜町178番地
(桜山八幡宮境内)
・開館時間
通期3~11月(9~17時)
冬期12~2月(9~16時30分)
・入館料
大人(1,000円 税込み)
小・中学性(500円税込み)
高校生(600円 税込み)
・駐車場
普通車1時間(300円 税込み)
※2020年11月現在

《桜山日光館》
http://www.hidahachimangu.jp/yataikaikan/nikkoukan.html

【出典】

◆高山祭屋台開館パンフレット
高山祭屋台会館へようこそ
日光東照宮 社殿の概要~世界遺産~
東照宮工事説明パンフレット
日光東照宮 入口から陽明門まで
日光東照宮 日光東照宮本社
日光東照宮 当宮宝物館蔵「境内模型」が長谷川喜十郎の作品と判明
陽明門逆柱と魔除け
日光東照宮・唐門/ニッポン旅マガジン
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