せつなくて、恋しくて。「手紙」の物語

こは、架空老舗書店の晴天書房。私はお店番のあんずです。

みなさんは、世界で一番短い手紙を知っていますか?

フランスの文豪ビクトル・ユーゴーは『ああ無情』という本を出版した際に、売れ行きが心配で出版社に問い合わせをしたそうです。
文面は、「?」のみ。それを見た出版社は「!」と返信したそう。
この2通が世界一短い手紙と言われています。

なんと粋なやりとりっ!

今回は「手紙」に纏わる小説をご紹介しましょう。
お店の常連さんに、おすすめの本を聞きました。

晴天書房の常連たち

手紙は捨てられない。 YUMMY
過去にもらった手紙。その文字の一つひとつに言霊が宿っているようで捨てられない。自分が書いたら、読後はさっさと捨てて欲しいのにね。
 丁寧な暮らし6級 よっすー 
手紙というものに漂う秘密の気配は、小説と親和性高いと思う。他人宛を読めるのは創作物だけだしね。手紙小説、性癖です。

 

現実は苦難に満ちていても
未来はきっと輝いていて。

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【あらすじ】章子は小学4年生、父を亡くし病弱の母と二人暮らしになったある日、ポストに20年後の自分からの手紙を見つける。「30歳になったあなたは、幸せに暮らしていると」しかし、現実は過酷で苦難が次々と押し寄せ、章子の未来は果たして・・・・。

プレゼンテーター:
手紙は捨てられない。 
YUMMY
母の名前は「文乃」、私の名前は「章子」で、母の名前と娘の名前で「文章」という言葉になることが、名づけられた理由だと、30年後の私からの手紙に書かれていた。それから章子は、事あるごとに自分の気持ちを文章に書き連ね、未来の自分への手紙とする。

美しい章子の母は、精神を病んでいて、床から起きられない日は「人形」、起きて家事ができる日は「人」と呼ばれていた。父亡き後、章子は母の面倒をみながら学校に通うようになる。お弁当も自分で作るから、見られた級友からいじめられ、気づいた担任が親身に世話をするうち、母に魅了されてストーカーになり、母娘は追い詰められていく。

とまぁ、学校でのいじめ、担任と母の噂、火事騒ぎ、母の過去、と苦難が押し寄せていても、それでも「未来」はきっと幸せになっている?!湊かなえさんらしいやるせなさが胸を打つ一冊。

未来から届いた手紙は救いだったのか・・・?

代筆業は紙の上の女優?
読んで楽しむ鎌倉めぐり

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【あらすじ】鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙……。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。

プレゼンテーター
丁寧な暮らし6級 よっすー
代筆という珍しい職業への興味を足がかりにぐいぐい読めた。何しろ鳩子さんの字書き技能が凄くて、依頼人が乗り移ったかのように筆跡や文体を自在に使い分けられるのだ(けれど、その素晴らしい技を授けてくれた先代との関係は・・・)。紙や筆記具、切手の選定パートも面白い。実際にプロの方が手掛けている手紙部分はもちろん、鳩子さんの営む、いわゆる「丁寧な暮らし」もとても魅力的。

小川糸は平凡な生活描写を執拗に重ねつつ、「映えない」部分だけをさり気なく削ぎ落とすのが巧いと思う。等身大なのにどことなくファンタジーのような不思議な読み味で、それが今作では鎌倉という情緒あふれる街の、実在の店や神社や銘菓の数々としっくり馴染んでいる。

旅情の甘やかなフィルター越しに眺める四季はただ美しく、人は皆優しい。シンプルで羨ましくなってしまうような鳩子さんの優しい世界、でもそのヒントは私達の当たり前の暮らしの中にある。それを教えてくれる小説です。

続編の「キラキラ共和国」もぜひ読んでみてくださいね♪

ご紹介した本まとめ

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いかがでしたか?LINEやメール、電話なんかも手軽でいいですが、たまにはゆっくり誰かに宛てて手紙を書いてみるのもいいですね。